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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻2号

2022年02月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

健常高齢者に発症し,巨大な深掘れ打ち抜き潰瘍および長い偽腔形成を伴う多彩な画像所見を呈したサイトメガロウイルス食道病変の1例

著者: 木下真樹子1 木下幾晴1 湊口仁史1 今井元12 松本春香13 橋本忠幸4

所属機関: 1南和歌山医療センター消化器科 2岡波総合病院消化器内科 3和歌山県立医科大学附属病院救急科 4南和歌山医療センター救命救急科

ページ範囲:P.211 - P.218

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要旨●患者は基礎疾患のない70歳代,女性.食道違和感を主訴に来院した.EGDおよび食道X線造影検査で頸部食道〜胸部上部食道(Ut)に約6cmの巨大な深掘れ打ち抜き潰瘍,Utに粘膜橋,Ut〜扁平円柱上皮接合部近傍まで長い偽腔を形成し,下部食道では真腔に黄白色粘膜の結節状隆起を認めた.潰瘍底から生検された炎症性肉芽組織内に,免疫組織化学的にサイトメガロウイルス(CMV)陽性の細胞が確認され,CMV食道病変と診断した.打ち抜き潰瘍と黄白色粘膜の結節状隆起はCMV食道病変に典型的所見であったが,長い偽腔形成は非典型的な所見であった.偽腔の存在により固形物の摂取が困難であり,偽腔を内視鏡的に切開し解放した.本例は健常高齢者に発症し,食道全域に多彩な画像所見を呈したまれな症例と考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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