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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻3号

2022年03月発行

文献概要

今月の主題 食道上皮内腫瘍の診断と取り扱い 主題症例

経過観察中に癌化した食道上皮内腫瘍の1例

著者: 依光展和1 小田丈二1 入口陽介1 水谷勝2 冨野泰弘1 山里哲郎2 園田隆賀3 岸大輔1 安川佳美1 霧生信明1 中河原亜希子1 清水孝悦1 橋本真紀子1 成田真一4 山村彰彦4 細井董三1

所属機関: 1東京都がん検診センター消化器内科 2東京都保健医療公社荏原病院消化器内科 3熊本大学医学部附属病院消化器内科 4東京都がん検診センター検査科

ページ範囲:P.283 - P.288

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要旨●患者は70歳代,男性.嘔気,心窩部痛を主訴にEGDを行い,胸部下部食道に血管透見が低下した15mm大の境界不明瞭な白色調の平坦病変を認めた.ヨード撒布にて15mm大の境界明瞭な不整形の不染帯を呈し,扁平上皮癌が疑われたが,生検病理診断は上皮内腫瘍であった.4年3か月後のEGD所見に大きな変化はなかったが,生検病理診断が扁平上皮癌となり内視鏡的切除を行った.最終病理診断はpT1a(EP)の扁平上皮癌であった.内視鏡診断では扁平上皮癌を疑うが,生検病理診断が上皮内腫瘍である場合,扁平上皮癌が併存する,あるいは扁平上皮癌に進展する可能性があり,病理医とのディスカッションのもと,診断的治療としての内視鏡的切除も検討する必要がある.

参考文献

1)渡辺玄,味岡洋一,西倉健,他.食道表在癌の病理診断—1)生検診断の問題点.胃と腸 46:571-577, 2011
2)Shimizu Y, Yoshida T, Kato M, et al. Low-grade dysplasia component in early invasive squamous cell carcinoma of the esophagus. J Gastroenterol Hepatol 25:314-318, 2010
3)日本食道学会(編).食道癌取扱い規約,第11版.金原出版,2015
4)大森泰,幕内博康,熊谷義也.食道ヨード不染帯の経過観察.胃と腸 29:911-919, 1994
5)島田英雄,幕内博康,町村貴郎,他.5mm以下のヨード不染帯の検討—微小不染帯の臨床的意味は何か.胃と腸 29:921-930, 1994
6)門馬久美子,吉田操,藤原純子,他.食道扁平上皮dysplasiaの診断・取り扱い—内視鏡の立場から:ヨード・NBI観察.胃と腸 42:147-159, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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