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雑誌目次

雑誌文献

胃と腸57巻4号

2022年04月発行

雑誌目次

今月の主題 予後不良な早期消化管癌 序説

予後不良な早期消化管癌

著者: 小澤俊文

ページ範囲:P.353 - P.354

はじめに
 本号の表題である「予後不良な早期消化管癌」を目にした際に読者諸氏はどのような肉眼形態や内視鏡所見・病理組織学的所見の癌を想起するであろうか.もちろん,既に進行癌となり,遠隔転移を来した場合に予後不良となることは至極当然と言えよう.この“予後不良な”には,早期癌(T1癌)あるいは小さな腫瘍径にもかかわらず脈管侵襲が高度なものや,既にリンパ節転移や遠隔転移を来し癌死した症例,壁内転移(intramural metastasis ; IM)を来した症例1)2),などという転移リスクの高い病変の意味合いが強く包含される.また,短期間での形態変化とともに推定深達度が増した症例なども含まれよう.さらには,内視鏡治療や外科的切除を施行し,根治した蓋然性が高いと考えられた病変が,その後に想定を覆して再発死亡した症例も当てはまる.本誌を顧みると,早期胃癌の予後に関する特集は,5巻5号の「早期胃癌再発例の検討」,19巻7号の「早期胃癌の再発死亡をめぐって」,28巻3号の「早期胃癌1993」3),53巻5号の「早期胃癌2018」など,何度も繰り返し取り上げられてきた.
 一般的に胃や大腸の早期癌は予後良好である4).国立がん研究センターの報告(Webページ5))によると,胃癌と大腸癌の病期別3年生存率(実測生存率/相対生存率)は胃癌88.9%/96.9%,大腸癌89.3%/96.4%とされている.5年生存率も同様に,胃癌81.6%/94.6%,大腸癌83.5%/95.4%と良好である.なお,相対生存率とは,がん以外の死因による死亡などの影響を取り除くために患者集団の実測生存率を,患者集団と同じ性・年齢構成の一般集団における期待生存率で割ることにより算出する生存率を指す.

主題

予後不良な早期消化管癌の病理組織学的特徴—食道癌

著者: 藤原美奈子 ,   川床慎一郎 ,   井星陽一郎 ,   隅田頼信 ,   吉村大輔 ,   原田直彦 ,   小田義直

ページ範囲:P.355 - P.363

要旨●食道表在癌すなわち食道T1癌は近年,積極的に内視鏡的切除が行われるようになった.「食道癌診療ガイドライン」ならびに2020年に策定された「食道癌に対するESD/EMRガイドライン」,また諸家の報告から,内視鏡的切除標本の病理組織学的診断において追加治療の観点から重要な病理組織学的所見が明らかとなった.すなわち,癌の組織型,深達度,脈管侵襲の有無,浸潤様式は内視鏡的切除後の追加治療の重要な観察項目であり,病理医は上記項目について十分注意して正確に診断する必要がある.

予後不良な早期消化管癌の病理組織学的特徴—胃癌

著者: 伴慎一 ,   佐藤泰樹 ,   佐藤陽子 ,   松嶋惇 ,   藤井晶子 ,   柴山隆宏 ,   山﨑早苗

ページ範囲:P.365 - P.376

要旨●早期胃癌の予後は全体としては非常に良好であるが,頻度が低いながらも遠隔転移を来し予後不良な例が認められる.治癒切除後の再発死亡例に関しては,病理組織学的な再発・転移リスク因子を十分に評価しきれていない可能性,腫瘍に内在するaggressiveな性格・成分や腫瘍細胞の微細な拡散を認識できていない可能性などが課題として考えられる.また,Krukenberg腫瘍や播種性骨髄癌症のような特異な遠隔転移を来す病態が,まれながら早期胃癌でも生じる可能性があること,胎児消化管類似癌と関連腫瘍,内分泌細胞癌,絨毛癌など高悪性度とされる特殊型組織型(成分)が早期胃癌でも認められることには,常に留意する必要がある.

予後不良な早期消化管癌の病理組織学的特徴—大腸癌

著者: 海崎泰治 ,   平沼知加志 ,   金本斐子 ,   鈴木勇人 ,   服部昌和 ,   道傳研司 ,   青柳裕之 ,   波佐谷兼慶 ,   原季衣 ,   小上瑛也

ページ範囲:P.377 - P.386

要旨●大腸癌の予後不良である組織型および病理組織学的所見を示し,実際のT1癌症例での予後との関連性について検討した.予後不良な組織型は低分化腺癌,印環細胞癌,内分泌細胞癌,invasive micropapillary carcinoma,未分化癌が挙げられた.予後不良な病理組織学的所見は,リンパ管侵襲,静脈侵襲,神経侵襲,簇出,低分化胞巣,未熟間質,リンパ節構造のない壁外非連続性癌進展病巣が挙げられた.実際のT1大腸癌症例では,予後不良な組織型および病理組織学的所見を有する症例は非常に少数で予後に対する影響は軽微であり,病理組織学的所見による予後予測は難しいと考えられた.

予後不良な食道T1a癌の画像診断・病理

著者: 川田研郎 ,   伊藤崇 ,   篠原元 ,   塩原寛之 ,   齋藤賢将 ,   藤原直人 ,   星野明弘 ,   徳永正則 ,   大橋健一 ,   絹笠祐介

ページ範囲:P.387 - P.395

要旨●1985年2月〜2021年10月までの間に,食道根治術を行った食道早期癌156例中リンパ節転移のあったのはすべてpT1a-MM癌であり(62例中6例,10%),すべて脈管侵襲陽性例であった.また,1989年12月〜2021年10月までの間に,当院にて内視鏡治療を行った食道表在癌1,171例のうち,2年以上の経過観察を終えたpT1a-MM癌150例157病変中,脈管侵襲陽性例の頻度は35病変(22%)であった.病理組織学的診断の結果を踏まえ根治手術を6例,放射線治療を2例,化学放射線治療を1例に行った.追加治療を行わなかった141例のうち4例(3%)にその後転移再発を認め,すべて原病死した.総合的にpT1a-MM癌206例中4例(2%)に原病死を認め,4例中2例は表層拡大型病変,1例は脈管侵襲陽性例,もう1例は脈管侵襲陰性かつ滴状浸潤陽性例であった.

予後不良な早期胃癌の画像診断・病理

著者: 吉永繁高 ,   鈴木晴久 ,   高丸博之 ,   牧口茉衣 ,   阿部清一郎 ,   野中哲 ,   斎藤豊 ,   山形幸徳 ,   吉川貴己 ,   魚住健志 ,   橋本大輝 ,   関根茂樹 ,   小田一郎

ページ範囲:P.397 - P.405

要旨●T1癌の中での“予後不良”となるものがどのような内視鏡所見,病理組織学的所見を有するか検討した.内視鏡治療病変667病変,外科手術病変416病変,合計1,083病変を対象として検討した結果,予後不良となったのはわずか9病変であった.“肉眼型(混合型および進行型vs. その他の肉眼型)”,“大きさ(25mm以上vs. 25mm未満)”,“組織型(混在型vs. その他の組織型)”,“深達度(M vs. SM)”,“潰瘍所見(ありvs. なし)”,“リンパ管侵襲(ありvs. なし)”,“静脈侵襲(ありvs. なし)”と“予後不良”と定義したイベント発生との関連性を検討した結果,すべてにおいて有意差をもって予後不良と関連していた.内視鏡的には“大きさ25mm以上で潰瘍所見を伴いSM浸潤が疑われるような派手な肉眼型を持つもの”,病理組織学的には“分化型・未分化型腺癌が混在し,SMに浸潤し,リンパ管,静脈侵襲があるもの”が“予後不良”なT1癌の特徴である可能性があると考えられた.

予後不良な早期大腸癌の画像診断・病理

著者: 安江千尋 ,   千野晶子 ,   石岡充彬 ,   井出大資 ,   五十嵐正広 ,   高松学 ,   河内洋 ,   斎藤彰一

ページ範囲:P.407 - P.415

要旨●大腸T1癌は,5年生存率が97%程度と適切な治療により多くの症例で完治が見込める一方で,まれながら予後不良な転帰をたどる症例が存在する.2005年1月〜2016年12月の12年間に,当院で局所切除あるいは外科手術を行った大腸T1癌826例の中・長期経過を解析し,同時性または異時性に遠隔転移を来した17例(2.1%)の臨床病理学的特徴について検討した.大腸T1癌の遠隔転移においては,多変量解析にて静脈侵襲が有意なリスク因子として抽出された.また,静脈侵襲陽性大腸T1癌は,陰性大腸T1癌より有意に疾患特異的生存率および無再発生存率が低下した.以上より,外科的にR0切除が得られた大腸T1癌であっても静脈侵襲が陽性であった症例は,遠隔転移を念頭に置いた,より慎重な経過観察が望まれる.

ノート

早期食道癌の予後

著者: 石原立 ,   松枝克典 ,   三宅宗彰 ,   七條智聖 ,   前川聡 ,   金坂卓 ,   山本幸子 ,   竹内洋司 ,   東野晃治 ,   上堂文也 ,   道田知樹

ページ範囲:P.416 - P.420

要旨●早期食道癌の転帰と関連するのはリンパ節や他臓器への転移であり,予後不良な早期食道癌はすなわち転移リスクが高いものである.早期食道癌の転移リスクを検討した研究では,リンパ管侵襲は転移と強く関連し,浸潤性の強い浸潤形式や低分化型も転移との関連が示唆された.転移を認めた食道粘膜内癌の症例報告11例では,5例にリンパ管侵襲や浸潤性の強い浸潤形式,低分化型の所見を認めた.一方で残りの6例は,T1a-EP(Tis)/T1a-LPM癌で,脈管侵襲陰性,浸潤形式や分化度に関して特記すべき所見がないにもかかわらず転移を来していた.

早期胃癌の予後

著者: 小野裕之 ,   坂東悦郎

ページ範囲:P.422 - P.426

要旨●早期胃癌の予後は良好であり,日本胃癌学会の全国胃癌登録における外科的切除例の2013年のデータでは,5年生存割合は,T1a(M)癌で91.3%,T1b(SM)癌で86.7%である.他病死を除いた場合,前者は99.3%,後者は96.7%と報告されている.胃癌死のほとんどはリンパ節や肝臓,腹膜などへの転移が起こることによる.特に早期胃癌の場合,リンパ節転移が強い予後因子となる.内視鏡治療後の評価では,リンパ節転移と最も関連するのはリンパ管侵襲であり,その他の所見として腫瘍径3cm以上,SM浸潤,垂直断端陽性,静脈侵襲の計5つがリスク因子として抽出された.混在型はtub2とporの混在が多く,治癒切除基準を満たさない場合には,予後不良となる可能性はある.

早期大腸癌の予後

著者: 山下賢 ,   谷野文昭 ,   山本紀子 ,   上垣内由季 ,   玉理太覚 ,   稲垣克哲 ,   岡本由貴 ,   田中秀典 ,   住元旭 ,   岡志郎 ,   田中信治

ページ範囲:P.427 - P.433

要旨●大腸T1癌は,病理学的リンパ節転移high risk症例と直腸病変で再発率が高い.特に,内視鏡切除のみで経過観察された病理学的リンパ節転移high risk症例は再発率が高いので,症例に応じて適切な追加治療を行う必要がある.また,同時性遠隔転移の頻度は低いが,いったん遠隔転移を起こすと予後不良となるため,T1癌を診断したときには全身を精査しておく必要がある.

トピックス

高悪性度胃癌の分子病理学的特徴

著者: 牛久哲男

ページ範囲:P.434 - P.439

はじめに
 胃癌の悪性度は症例ごとに極めて多様であるが,組織型でみると一般に分化度が低いほど悪性度が高い傾向を示す.すなわち未分化型(por1,por2,sig)は分化型(tub1,tub2,pap)よりも悪性度が高い傾向を有するものの.未分化型よりも悪性度の高い分化型の癌,あるいは逆に一般的な分化型よりも悪性度の低い未分化型の癌も少なからず存在する.現在の内視鏡的切除の根治度評価にはこの2分類法が用いられているが,この2分類法では,個別化医療が推進されている現在において多様な胃癌を適切に層別化する方法としては限界がきており,より最適な治療方針決定に直結する分類法の確立が求められる.
 本稿では,高悪性度胃癌にはどのタイプの胃癌が含まれ,それぞれいかなる分子病理学的特徴を有するのかを紹介する.

主題症例

ESD後早期にリンパ節転移を来したpT1a-MM脈管侵襲陰性食道扁平上皮癌の1例

著者: 内田絵理香 ,   門田智裕 ,   坂下信悟 ,   佐藤大幹 ,   山下大生 ,   三井智広 ,   稲場淳 ,   砂川弘憲 ,   高島健司 ,   中條恵一郎 ,   村野竜朗 ,   新村健介 ,   依田雄介 ,   池松弘朗 ,   矢野友規

ページ範囲:P.441 - P.446

要旨●患者は60歳代(後半),男性.健診のEGDにて食道病変が指摘された.胸部中部食道の半周性,40mm大の食道表在癌で,術前深達度診断はcT1a-MM/T1b-SM1であり,内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)を施行した.ESD後の病理組織学的所見は,squamous cell carcinoma,pT1a-MM,INFb,int,ly0,v0,pHM0,pVM0,Type 0-IIc,45×40mmであり,追加治療せずに経過観察の方針となった.ESD 1年4か月後のCT検査にて,リンパ節転移(No.16)を認め,緩和的化学療法を施行したが,ESD 4年3か月後に永眠された.

幽門側胃切除術後3年8か月の経過で原病死した早期胃癌(胎児消化管類似癌)の1例

著者: 入口陽介 ,   小田丈二 ,   冨野泰弘 ,   依光展和 ,   岸大輔 ,   安川佳美 ,   中河原亜希子 ,   橋本真紀子 ,   霧生信明 ,   清水孝悦 ,   神谷綾子 ,   水谷勝 ,   山里哲郎 ,   園田隆賀 ,   山村彰彦 ,   細井董三

ページ範囲:P.447 - P.453

要旨●患者は70歳代,女性.胃前庭部前壁に大きさ45mmの0-IIa+IIc型早期胃癌を認め,内視鏡的粘膜下層剝離術を施行したが,病理組織学的診断で,pT1b2(SM 2,075μm),中分化管状腺癌+胎児消化管類似癌,medullary,INFb,Ly1,V1,pHM0(4mm),pVM1であったため,2か月後に幽門側胃切除術を施行した.手術標本の病理組織学的診断では遺残を認めず,また遠隔転移も認めなかったが,3年8か月後に腹膜播種を来し死亡した,予後不良であった早期胃癌(胎児消化管類似癌)症例を経験したので報告する.

予後不良な経過をたどった十二指腸粘膜下層浸潤癌の1例

著者: 岩田賢太郎 ,   加藤元彦 ,   佐々木基 ,   宮崎蔵人 ,   窪澤陽子 ,   増永哲平 ,   水谷真理 ,   木口賀之 ,   高取祐作 ,   松浦倫子 ,   中山敦史 ,   矢作直久

ページ範囲:P.455 - P.460

要旨●患者は70歳代,女性.近医での内視鏡検査で十二指腸下行部内壁側を主座とする約80mm大の隆起性病変を指摘された.病変は主乳頭を完全に巻き込んでおり,主乳頭を含めたESDによる一括切除を行った.術後病理組織学的検査では,ごくわずかな領域において粘膜下層浸潤(100μm)ならびにリンパ管浸潤を指摘された.ESDから2か月後に追加外科手術を施行したものの,術後5か月後の造影CTで全身転移を指摘され,術後9か月後に死亡した.十二指腸癌は他消化管癌と比較して,高い生物学的悪性度を有する可能性が示唆される.そのため,術前に高い確診度で低異型度腫瘍と診断する場合を除いては,確実な一括切除と信頼性の高い病理組織学的診断を考慮する必要がある.

内視鏡的切除後に遠隔転移再発を来した上行結腸T1癌の1例

著者: 加藤文一朗 ,   松下弘雄 ,   吉川健二郎 ,   田中義人 ,   萬春花 ,   田口愛弓 ,   髙木亮 ,   山崎晃汰 ,   山田宗玄 ,   武藤理 ,   東海林琢男 ,   榎本克彦

ページ範囲:P.461 - P.471

要旨●患者は70歳代,女性.便潜血陽性に対する精査目的の大腸内視鏡検査で上行結腸に35mm大の0-Is型病変を認め,精査加療目的に当センターへ紹介され受診となった.術前CTではリンパ節転移,遠隔転移は認めなかった.当センターでの大腸内視鏡検査では,粘膜内癌と診断し,内視鏡的粘膜下層剝離術を施行した.最終病理診断は,carcinoma(tub1>tub2)in adenoma,pT1a(440μm),Ly0,V0,BD1であり,追加腸切除を施行せず,経過観察の方針とした.しかしながら,内視鏡治療後19か月で施行した腹部超音波検査で肝転移再発を認め,化学療法を施行したが,治療後45か月で永眠された.大腸T1癌の遠隔転移再発はまれとされ,腸管切除を行ったとしても再発する可能性があり,T1癌治療後にはより慎重な対応が求められる.

早期胃癌研究会症例

興味深い形態を呈した胃神経内分泌腫瘍の1例

著者: 石田夏樹 ,   大澤恵 ,   杉山智洋 ,   鏡卓馬 ,   谷伸也 ,   山出美穂子 ,   岩泉守哉 ,   濱屋寧 ,   古田隆久 ,   石川励 ,   馬場聡 ,   菊池寛利 ,   平松良浩 ,   神谷欣志 ,   竹内裕也 ,   杉本健

ページ範囲:P.473 - P.481

要旨●患者は50歳代,女性.検診の上部消化管X線造影検査で胃に異常を指摘された.EGDで同部に病変を認めたため,精査・加療目的で当院に紹介され受診となった.EGDにて胃体上部大彎に径25mmの周囲にconverging foldと,中央に溝状の陥凹を有する発赤調の表面平滑な隆起性病変を認めた.NBI拡大観察では腺窩構造の開大とシアン調の拡張血管を認めた.同部の生検にて神経内分泌腫瘍G1と診断された.腹腔鏡下噴門側胃切除術を施行し,胃NET,G1,pT4,pN1,M0,Stage IIIの診断であった.

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目次

ページ範囲:P.351 - P.351

欧文目次

ページ範囲:P.352 - P.352

バックナンバー・定期購読のご案内

ページ範囲:P.350 - P.350

早期胃癌研究会 症例募集

ページ範囲:P.460 - P.460

「今月の症例」症例募集

ページ範囲:P.471 - P.471

次号予告

ページ範囲:P.484 - P.484

編集後記

著者: 入口陽介

ページ範囲:P.485 - P.485

 早期消化管癌は,一般的に遠隔転移も少なく生命予後は良好であり,治療は内視鏡治療や機能温存の縮小手術などが適応となることが多いため,救命に加えて術後QOLの獲得に向けたスクリーニングの対象である.しかし,予後を調査すると,適切に治療してもまれに原病死する症例に驚く.序説で小澤が「予後不良な早期消化管癌」に包含される症例を概説し,画像や病理の特徴に迫りたいと述べている.
 病理は,藤原が食道癌,伴が胃癌,海崎が大腸癌の組織学的予後不良因子を解説している.

基本情報

胃と腸

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1219

印刷版ISSN 0536-2180

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