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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻4号

2022年04月発行

文献概要

今月の主題 予後不良な早期消化管癌 主題

予後不良な食道T1a癌の画像診断・病理

著者: 川田研郎1 伊藤崇2 篠原元1 塩原寛之1 齋藤賢将1 藤原直人1 星野明弘1 徳永正則1 大橋健一2 絹笠祐介1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学科・大学院医歯学総合研究科消化管外科学 2東京医科歯科大学医学科・大学院医歯学総合研究科人体病理学

ページ範囲:P.387 - P.395

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要旨●1985年2月〜2021年10月までの間に,食道根治術を行った食道早期癌156例中リンパ節転移のあったのはすべてpT1a-MM癌であり(62例中6例,10%),すべて脈管侵襲陽性例であった.また,1989年12月〜2021年10月までの間に,当院にて内視鏡治療を行った食道表在癌1,171例のうち,2年以上の経過観察を終えたpT1a-MM癌150例157病変中,脈管侵襲陽性例の頻度は35病変(22%)であった.病理組織学的診断の結果を踏まえ根治手術を6例,放射線治療を2例,化学放射線治療を1例に行った.追加治療を行わなかった141例のうち4例(3%)にその後転移再発を認め,すべて原病死した.総合的にpT1a-MM癌206例中4例(2%)に原病死を認め,4例中2例は表層拡大型病変,1例は脈管侵襲陽性例,もう1例は脈管侵襲陰性かつ滴状浸潤陽性例であった.

参考文献

1)Oyama T, Tomori A, Hotta K, et al. Endoscopic submucosal dissection of early esophageal cancer. Clin Gastroenterol Hepatol 3:S67-70, 2005
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8)門馬久美子,吉田操,藤原純子,他.食道T1a-MM・SM1癌内視鏡切除後の経過.胃と腸 42:1341-1354, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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