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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 検査法・手技 食道
EUS(endoscopic ultrasonography)
著者: 松浦倫子1
所属機関: 1慶應義塾大学病院腫瘍センター
ページ範囲:P.498 - P.498
文献購入ページに移動 超音波内視鏡(endoscopic ultrasonography ; EUS)は,上皮下の情報を可視できるモダリティである.食道領域においては,主に粘膜下腫瘍(submucosal tumor ; SMT)の質的診断・癌の深達度診断,リンパ節転移の診断に用いられる.EUSは主に細径プローブとEUS専用機(ラジアル,コンベックス,リニア)に大別できる.細径プローブは,内視鏡の鉗子孔を通して使用するため,病変を直視しながら検査できることが最大のメリットである.細径プローブでは周波数は12〜20MHzに限定され,超音波が減衰するため,主に20mm以下の小さなSMTの質的診断,癌の深達度診断に用いられる.EUS専用機は5〜20MHzと幅広い周波数を選択できるため,20mmを超える大きなSMTの質的診断,頸部・縦隔・腹部のリンパ節転移診断に用いられる.
EUSは超音波伝導物質を食道内腔に貯留させ検査を行う.胃・十二指腸・大腸でよく用いられる脱気水充満法,ソフトバルーン法は,食道内腔に水を充満すると誤嚥のリスクが高いため,特に頸部から胸部上部食道の観察時には,食道内腔に内視鏡ゼリーを注入し観察するゼリー充填法1)が有用である.20MHzの細径プローブを用いて観察すると,食道壁の層構造は通常9層に分離される2).
EUSは超音波伝導物質を食道内腔に貯留させ検査を行う.胃・十二指腸・大腸でよく用いられる脱気水充満法,ソフトバルーン法は,食道内腔に水を充満すると誤嚥のリスクが高いため,特に頸部から胸部上部食道の観察時には,食道内腔に内視鏡ゼリーを注入し観察するゼリー充填法1)が有用である.20MHzの細径プローブを用いて観察すると,食道壁の層構造は通常9層に分離される2).
参考文献
1)Hanaoka N, Ishihara R, Matsuura N, et al. Esophageal EUS by filling water-soluble lubricating jelly for diagnosis of depth of invasion in superficial esophageal cancer. Gastrointest Endosc 82:164-165, 2015
2)山中桓夫,木村義人,橋本博子,他.EUS壁構造の解釈.Gastroenterol Endosc 43:1091-1092, 2001
3)Ishihara R, Mizusawa J, Kushima R, et al. Assessment of the diagnostic performance of endoscopic ultrasonography after conventional endoscopy for the evaluation of esophageal squamous cell carcinoma invasion depth. JAMA Netw Open 4:e2125317, 2021
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