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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻5号

2022年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 検査法・手技 食道

Valsalva法

著者: 川田研郎12

所属機関: 1東京医科歯科大学医学科 2東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科消化管外科学

ページ範囲:P.500 - P.500

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 下咽頭輪状後部〜その対側の後壁〜食道入口部までは内視鏡的死角となっており,観察が難しい領域である.この領域の観察にはValsalva法が有用である.下咽頭喉頭観察時に,大きく息を吸った後,一気に息を吐きながら唇を結んで両頰を膨らませ続け,息を10秒程度こらえるという方法1)である.もともとは耳鼻咽喉科領域で行われていた方法で,被検者の喉仏あたりの皮膚をつまんで前方に牽引する方法や,被検者が指を咥えながらトランペットを吹くようにする方法,風船を膨らませて行う方法など,さまざまな工夫が行われている.
 経鼻内視鏡は咽頭反射が起こりにくいため,時間をかけて咽喉頭領域を観察しやすく,鎮静が不要なため指示が入りやすいという利点がある.最新の経鼻内視鏡は通常径の内視鏡と同等の画質,NBI(narrow band imaging),BLI(blue laser imaging,Fig.1),LCI(linked color imaging,Fig.2)などの画像強調機能を備えており,咽喉頭観察においては最適の診断ツールとなっているValsalva法にて全貌が明らかとなった症例をFig.3に示す.

参考文献

1)川田研郎,河野辰幸,永井鑑,他.中・下咽頭表在癌の内視鏡診断—経鼻内視鏡の立場から.胃と腸 45:228-239, 2010
2)Iwatsubo T, Ishihara R, Nakagawa K, et al. Pharyngeal observation via transoral endoscopy using a lip cover-type mouthpiece. J Gastroenterol Hepatol 34:1384-1389, 2019
3)Sakai A, Okami K, Sugimoto R, et al. A new technique to expose the hypopharyngeal space:The modified Killian's method. Auris Nasus Larynx 41:207-210, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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