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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻5号

2022年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 画像所見 食道

pink color sign

著者: 北村陽子1

所属機関: 1市立奈良病院消化器肝臓病センター消化器内科

ページ範囲:P.522 - P.522

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 正常な食道上皮内の有棘細胞層内にはグリコーゲンが含まれており,ヨード染色を行うと,グリコーゲンとヨードが反応して,茶褐色に染色される.しかし,グリコーゲンを産生する食道上皮が菲薄化したり消失したりすると,ヨードの染色性は低下し,淡染〜不染帯を呈する(Fig.1).食道癌のみでなく,炎症性変化や扁平上皮の欠損などの良性疾患でも不染を呈する.つまり,ヨード不染の原因はさまざまである.
 大森ら1)は,黄色であったヨード不染帯が数分後に,本来の病変の色調であるサーモンピンクを呈するようになる現象を,PC(pink color)signと命名した(Fig.2).PC signの原理に関してはいまだ不明な点があるが,異型が高度になると上皮のバリア機構が障害され染色後早期にヨードが上皮内から消失し,本来の病巣の色調であるピンクを呈するという説2)や,病変の異型性ではなく,残存した正常上皮の厚さを反映しているという意見もある.

参考文献

1)大森泰,横山顕.危険なヨード不染帯所見—Pink Color signの検討.Gastroenterol Endosc 43(Suppl 2):1613, 2001
2)Ishihara R, Kanzaki H, Iishi H, et al. Pink-color sing in esophageal squamous neoplasia, and speculation regarding the underlying mechanism. World J Gastroenterol 19:4300-4308, 2013
3)Shimizu Y, Omori T, Yokoyama A, et al. Endoscopic diagnosis of early squamous neoplasia of the esophagus with iodine staining:high-grade intra-epithelial neoplasia turns pink within a few minutes. J Gastroenterol Hepatol 23:546-550, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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