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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 画像所見 食道
focal atrophy
著者: 小山恒男1 高橋亜紀子1
所属機関: 1佐久医療センター内視鏡内科
ページ範囲:P.523 - P.523
文献購入ページに移動 食道扁平上皮癌(esophageal squamous cell carcinoma ; ESCC)の多くは発赤調であり,NBI(narrow band imaging)にてBA(brownish area)を呈する.また,NBI併用拡大内視鏡観察(NBI-ME)では,①拡張,②蛇行,③口径不同,④形状不均一,の4徴を有する異常血管が観察される.日本食道学会拡大内視鏡(JES)分類では,これら4徴のすべてを有する病態をType B,一部を有する病態をType Aに亜分類しており1),食道上皮内腫瘍(squamous intraepithelial neoplasia ; SIN)ではType A血管がみられ,ESCCではType B血管が観察される2)3).
focal atrophyは,通常内視鏡観察(白色光)で軽度発赤,NBIで淡いBA,ヨード染色にて不染帯を呈すため,ESCCとの鑑別が問題となる.focal atrophyでは,JES分類Type A,B血管は認められず,NBI-MEにて上皮直下の毛細血管網であるSECN(subepithelial capillary network)が透見される.しかし,空気量が少ないとSECNは透見されないため,NBI-ME観察時には十分に送気し,食道上皮を伸展させて観察することが重要である.
focal atrophyは,通常内視鏡観察(白色光)で軽度発赤,NBIで淡いBA,ヨード染色にて不染帯を呈すため,ESCCとの鑑別が問題となる.focal atrophyでは,JES分類Type A,B血管は認められず,NBI-MEにて上皮直下の毛細血管網であるSECN(subepithelial capillary network)が透見される.しかし,空気量が少ないとSECNは透見されないため,NBI-ME観察時には十分に送気し,食道上皮を伸展させて観察することが重要である.
参考文献
1)Oyama T, Inoue H, Arima M, et al. Prediction of the invasion depth of superficial squamous cell carcinoma based on microvessel morphology:magnifying endoscopic classification of the Japan Esophageal Society. Esophagus 14:105-112, 2017
2)高橋亜紀子,小山恒男,塩澤哲,他.食道上皮内腫瘍の内視鏡的検討.胃と腸 57:273-282, 2022
3)小山恒男,新井冨生,眞能正幸,他.食道上皮内腫瘍を問う—アンケート集計を踏まえて.胃と腸 57:310-344, 2022
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