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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻5号

2022年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 画像所見 食道

柵状血管

著者: 依光展和1 小田丈二1

所属機関: 1東京都がん検診センター消化器内科

ページ範囲:P.528 - P.528

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 食道柵状血管は食道胃接合部(esophagogastric junction ; EGJ)を長軸方向に走行する静脈であり,解剖学的構造はDe Carvalho1)により1966年に報告された.粘膜下層を走行する静脈が,粘膜筋板を貫いて粘膜固有層に移動し走行した後,再び粘膜下層に戻る特徴的な構造であり(Fig.1)1),下部食道括約筋部に位置していると考えられている.そのため,「食道癌取扱い規約 第11版」2)においては“食道下部柵状血管の下端”が内視鏡検査によるEGJの基準とされ,柵状血管が判定できない場合は,欧米と同様に胃の縦走ひだの口側終末部を基準とすると記載されている.
 内視鏡検査では胃内の脱気と深吸気にて食道胃接合部を食道側に移動させ,食道粘膜を送気伸展することで柵状血管の観察が可能となる.他部位の食道表面に観察される血管よりも,径が太く密度の高い血管群として認識され,柵状血管の下端がSCJ(squamo columnar junction)に接している場合,EGJとSCJが一致していると考えられる(Fig.2).

参考文献

1)De Carvalho CAF. Sur l'angio-architecture veineuse de la zone de transition oesophago-gastrique et son interprétation fonctionnelle. Acta Anat 64:125-162, 1966
2)日本食道学会(編).臨床・病理食道癌取扱い規約,第11版.金原出版,2015
3)Aida J, Vieth M, Ell C, et al. Palisade vessels as a new histologic marker of esophageal origin in ER specimens from columnar-lined esophagus. Am J Surg Pathol 35:1140-1145, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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