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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻5号

2022年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 画像所見 胃:白色光通常観察

RAC(regular arrangement of collecting venules)

著者: 八木一芳1 寺井崇二2

所属機関: 1新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院消化器内科 2新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野

ページ範囲:P.533 - P.533

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 H. pylori未感染正常胃では,胃底腺領域に規則的な集合細静脈の配列像が観察される.その内視鏡像をRAC(regular arrangement of collecting venules)と言う1)2).遠景では“規則的な無数の点”として視認され,近接では“ヒトデ状の模様が整然と配列する像”として視認される1).このRAC像が胃底腺領域全体に観察される場合,RAC陽性としてH. pylori未感染正常胃と判定する1)2).RAC陽性の場合は95%の正診率でH. pylori未感染の正常胃である1)2)
 前庭部優位のH. pylori感染胃炎で胃体上部に炎症が及んでいない症例では,胃体上部にRAC類似内視鏡像(偽RAC)が観察される.このような症例の誤診を防ぐため,RAC陽性か否かの判定は胃角部小彎の観察が推奨されている.また,胃体部萎縮の乏しい胃が除菌された場合,活動性炎症の消失によりRACが観察されてくる場合もある.

参考文献

1)八木一芳,中村厚夫,関根厚雄,他.Helicobacter pylori陰性・正常胃粘膜内視鏡像の検討.Gastroenterol Endosc 42:1977-1987, 2000
2)Yagi K, Nakamura A, Sekine A. Characteristic endoscopic and magnified endoscopic findings in the normal stomach without Helicobacter pylori infection. J Gastroenterol Hepatol 17:39-45, 2002
3)八木一芳.RAC.胃と腸 52:600, 2017
4)八木一芳,味岡洋一.胃の拡大内視鏡診断,第2版.医学書院,pp 2-15, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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