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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻5号

2022年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 画像所見 胃:白色光通常観察

伸展不良

著者: 入口陽介1 冨野泰弘1 山村彰彦2

所属機関: 1東京都がん検診センター消化器内科 2東京都がん検診センター検査科

ページ範囲:P.543 - P.543

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定義
 伸展不良とは,消化管内腔に空気やバリウムを十分に入れて膨らましても,全体的,部分的,両側性,片側性に伸展が悪くなった状態を表現する用語である.胃を例にとると,内視鏡検査では空気で,X線造影検査ではバリウム充満像,あるいは二重造影像で,胃壁を十分に伸展させるも,胃壁の硬化などによって伸展が悪くなった状態を表現する.胃内腔の伸展が不良な場合,胃体部のひだ間の伸展不良(Fig.1a〜c)が認められ,正常な胃と比較して胃形のバランスが悪い(Fig.1c)場合には,胃壁のびまん性硬化があると判定する.癌であれば粘膜下層以深に浸潤したスキルス胃癌をまず疑うが,スキルス胃癌であれば,通常,原発巣となる陥凹性変化が認められることが多く,生検で未分化型癌が認められる(Fig.1d).原発巣が不明瞭で生検で癌を認めない例もあり,注意が必要である.一方,広範な線維化を来すような特殊な病態や漿膜側の炎症後の癒着や他臓器癌の漿膜浸潤,感染症など,伸展不良を来す疾患は多い1)

参考文献

1)八尾恒良,大串秀明.病理組織構築より見た深達度診断の問題点.胃と腸 12:1157-1173, 1977
2)浜田勉,近藤健司,阿部剛,他.びまん浸潤型胃癌と鑑別を要する炎症性病変.胃と腸 37:1687-1699, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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