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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 画像所見 胃:拡大観察
WOS(white opaque substance)
著者: 八尾建史1
所属機関: 1福岡大学筑紫病院内視鏡部
ページ範囲:P.552 - P.552
文献購入ページに移動消化管粘膜の腺上皮や上皮性病変を拡大観察した際に,上皮下の微小血管構築像の視覚化を妨げる表層の上皮に存在する白色の物質を白色不透明物質(white opaque substance ; WOS)と呼称する.WOSの存在は,筆者ら1)により世界に先駆けて報告されたが,報告時はその正体や成り立ちは不明であった.その後の研究により,WOSが存在する上皮内に微小な脂肪滴が集積していることが明らかになった2).すなわち,WOSの成り立ちは,腸型の形質を獲得した腸上皮化生・胃上皮性腫瘍の上皮内に貯留した脂肪滴が,投射光を強く多重散乱・反射し,上皮下の血管を不透明にした結果,観察された現象である.投射光の強散乱や反射は人間の目に白色として認識され,投射光が上皮下の微小血管まで到達しないため,上皮下微小血管を不透明にする白色物質となりうることが判明した2).
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