icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻5号

2022年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 画像所見 腸

輪状潰瘍

著者: 吉原崇正1 蔵原晃一1

所属機関: 1松山赤十字病院胃腸センター

ページ範囲:P.558 - P.558

文献購入ページに移動
 輪状潰瘍(annular ulcer,circular ulcer)は腸管の短軸方向に走行する潰瘍を言う.周在性については,明確には定義されていないが,典型的には全周性の病変を指す.長軸方向に潰瘍の幅が広くなると帯状潰瘍(girdle ulcer)と呼ばれる.輪状潰瘍は求心性の狭窄を合併することがあり,輪状狭窄と表現される.
 小腸ないし大腸に輪状潰瘍を呈する疾患として,非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drugs ; NSAIDs)起因性小腸病変/大腸病変,非特異性多発性小腸潰瘍症(chronic enteropathy associated with SLCO2A1 gene ; CEAS),腸結核がよく知られている1).NSAIDs起因性腸病変は輪状潰瘍を呈することがあり,小腸では輪状ひだの頂部,大腸においては右側結腸の半月ひだの頂部に一致した境界明瞭で連続性のある浅い潰瘍を認める2)(Fig.1),周囲の背景粘膜にひだ集中や炎症性ポリープを認めない.

参考文献

1)松野雄一,梅野淳嗣,冬野雄太,他.炎症性腸疾患の画像所見と鑑別診断—輪状潰瘍.胃と腸 56:1527-1533, 2021
2)蔵原晃一,河内修司,川崎啓祐,他.小腸潰瘍の鑑別診断—X線診断を中心に.胃と腸 49:1267-1281, 2014
3)河内修司,蔵原晃一,川崎啓祐,他.ダブルバルーン小腸内視鏡にて病変を観察しえた非特異性多発性小腸潰瘍症の1例.胃と腸 49:1318-1325, 2014
4)大川清孝.消化管疾患:診断と鑑別の進め方—大腸潰瘍性病変の診断と鑑別.縦走潰瘍と輪状潰瘍の内視鏡的鑑別診断.胃と腸 50:1079-1086, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?