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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 食道
Barrett食道
著者: 天野祐二1 岩城智之1
所属機関: 1浦和共済病院消化器内科
ページ範囲:P.570 - P.570
文献購入ページに移動 Barrett食道とは食道扁平上皮が円柱上皮に置換された状態であり,多くの欧米諸国では円柱上皮内に特殊円柱上皮(specialized columnar epithelium ; SCE)を有することを必須条件としているが,本邦では必ずしもその存在を必要としない1).その発生は繰り返す胃内容物の逆流によるとの説が有力であるが先天性説もある.近年,逆流性食道炎症例が増加傾向にある本邦でもBarrett食道症例は増加傾向にあり,食道腺癌の発生母地として注目されている.Barrett食道は長さによりSSBE(short segment Barrett's esophagus)とLSBE(long segment Barrett's esophagus)に分類される.以前は全周3cm以上の場合のみLSBEと定義されていたが,近年では最大長3cm以上をLSBEとすることが一般的である.Fig.1に提示した症例は全周部分の長さ(C)1cmであるが最大長(M)は5cm以上であり,LSBEという扱いになる.
Barrett食道の内視鏡診断は食道胃接合部(esophagogastric junction ; EGJ)の診断がポイントとなり,このEGJ線と扁平上皮境界線までの領域に円柱上皮を認める場合がBarrett食道である.本邦では食道下部柵状血管の下端をEGJとすることが多いが,国際的には胃の縦走ひだ上端がEGJと定義されている.しかしながら,EGJの内視鏡診断は容易でないことも多く,以前より内視鏡医間での診断一致性に問題が指摘されている2).Fig.2に大きな裂孔ヘルニアを有する症例を提示するが,適切な空気量で観察できないため,EGJを示す胃の縦走ひだ上端と食道下部柵状血管下端の位置が乖離している.また,症例によっては扁平上皮島の存在がBarrett食道診断の一助となることがある.
Barrett食道の内視鏡診断は食道胃接合部(esophagogastric junction ; EGJ)の診断がポイントとなり,このEGJ線と扁平上皮境界線までの領域に円柱上皮を認める場合がBarrett食道である.本邦では食道下部柵状血管の下端をEGJとすることが多いが,国際的には胃の縦走ひだ上端がEGJと定義されている.しかしながら,EGJの内視鏡診断は容易でないことも多く,以前より内視鏡医間での診断一致性に問題が指摘されている2).Fig.2に大きな裂孔ヘルニアを有する症例を提示するが,適切な空気量で観察できないため,EGJを示す胃の縦走ひだ上端と食道下部柵状血管下端の位置が乖離している.また,症例によっては扁平上皮島の存在がBarrett食道診断の一助となることがある.
参考文献
1)日本食道学会(編).食道癌取扱い規約,第11版.金原出版,2015
2)Amano Y, Ishimura N, Furuta K, et al. Which landmark results in a more consistent diagnosis of Barrett's esophagus, the gastric folds or the palisade vessels? Gastrointest Endosc 64:206-211, 2006
3)Amano Y, Ishimura N, Ishihara S. Is malignant potential of Barrett's esophagus predictable by endoscopy findings? Life(Basel) 10:244, 2020
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