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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻5号

2022年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 食道

食道炎症性疾患(感染症等)

著者: 前田有紀1 小野裕之1 下田忠和2

所属機関: 1静岡県立静岡がんセンター内視鏡科 2静岡県立静岡がんセンター病理診断科

ページ範囲:P.583 - P.583

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 食道の感染性炎症性疾患として,単純ヘルペス(herpes simplex virus ; HSV)食道炎,サイトメガロウイルス(cytomegalovirus ; CMV)食道炎,食道カンジダ症などが代表的である.
 HSV食道炎は,三叉神経の神経細胞に潜伏感染しているHSVが,免疫抑制状態において再活性化し,唾液中に排泄されて食道粘膜に感染し,発症すると考えられている.内視鏡像は経時的に変化する.HSVが食道上皮に感染すると,上皮細胞の結合性が消失し,水疱が形成される.水疱が破裂すると浅い小潰瘍となる(Fig.1).境界明瞭で辺縁隆起がやや目立つ特徴的な形態の潰瘍で,volcano ulcersと称される1).小潰瘍が癒合すると帯状/地図状の潰瘍を形成する.時相の異なる病変が同時に存在することもHSV食道炎の特徴である2).胸部食道に多く,口腔や咽頭に病変を併存する場合もある.

参考文献

1)Agha FP, Lee HH, Nostrant TT. Herpetic esophagitis:a diagnostic challenge in immunocompromised patients. Am J Gastroenterol 81:246-253, 1986
2)Nash G, Ross JS. Herpetic esophagitis. A common cause of esophageal ulceration. Hum Pathol 5:339-345, 1974
3)Kodsi BE, Wickremesinghe C, Kozinn PJ, et al. Candida esophagitis:a prospective study of 27 cases. Gastroenterology 71:715-719, 1976

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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