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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻5号

2022年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 食道

転移性食道腫瘍

著者: 千野修1 小柳和夫2 幕内博康3

所属機関: 1東海大学医学部付属東京病院外科 2東海大学医学部付属病院消化器外科 3東海大学

ページ範囲:P.586 - P.586

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 転移性食道腫瘍は,その転移経路としてリンパ行性・血行性・播種性転移と直接浸潤が考えられる.食道癌や胃癌の食道壁内転移の頻度が高く,食道癌壁内転移について「食道癌取扱い規約 第11版」1)では“原発巣より明らかに離れた食道または胃の壁内に転移病巣を認める場合”と定義されている.その機序は,粘膜下層に浸潤した癌細胞がリンパ流を介し,リンパ行性壁内転移を生じると考えられる.食道癌の壁内転移については多くの報告があり,単発は約50%で複数の転移病巣を認める傾向がある2)
 形態学的には,リンパ行性に進展するため,粘膜下腫瘍様隆起を形成して原発巣と同列で数珠状に縦列する傾向があることが特徴である(Fig.1).腫瘍細胞が上皮下増殖を主体に存在するため硬さを有し,一般的に隆起頂部の非腫瘍性扁平上皮は圧迫され菲薄化することがある.この場合,ヨード染色では隆起頂部の扁平上皮は淡染を示し,頂部は軽度陥凹を呈する.また,食道壁内転移巣は主病巣と類似した病理組織像を呈する.なお,壁内転移はリンパ管侵襲が強く予後不良因子と言われている.

参考文献

1)日本食道学会(編).臨床・病理食道癌取扱い規約,第11版.金原出版,2015
2)竹内学.壁内転移.長浜隆司,竹内学(編).上部消化管内視鏡アトラス診断.医学書院,pp 74-75, 2020
3)有馬美和子.転移性食道腫瘍.長浜隆司,竹内学(編).上部消化管内視鏡アトラス診断.医学書院,pp 76-77, 2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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