文献詳細
文献概要
増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 食道
食道憩室(Zenker憩室・横隔膜上憩室)
著者: 佐藤裕樹1 寺井崇二1
所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野
ページ範囲:P.589 - P.589
文献購入ページに移動Zenker憩室は咽頭—食道移行部に生じる圧出性の仮性憩室であり,輪状咽頭筋と下咽頭収縮筋の間の解剖学的に脆弱なKillian's triangleに形成される(Fig.1).そのため病理組織学的には筋層を欠く.発症率が2/100,000人・年,罹患率が0.01〜0.11%の希少疾患であり,70〜80歳代の高齢者や男性に多いこと,欧米と比較しアジアでは少ないことなどが疫学的特徴である1).
上部食道括約筋の弛緩が不十分になることや憩室そのものが頸部食道を圧迫することにより嚥下困難などの症状が引き起こされる.有症状例は治療対象となるが,低侵襲な治療法が求められる疾患の特徴および近年の内視鏡機器・技術の発展から,内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD)のデバイスを用いた経口内視鏡的筋層切開術(per-oral endoscopic myotomy ; POEM)の技術を応用したD-POEM(diverticular-POEM)が開発され,欧州ではこれらの内視鏡治療が第一選択と考えられている2).
参考文献
掲載誌情報