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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻5号

2022年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 食道

食道アカラシア

著者: 小山恒男1 高橋亜紀子1

所属機関: 1佐久医療センター内視鏡内科

ページ範囲:P.590 - P.591

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 日本食道学会の「食道アカラシア取扱い規約 第4版」1)では,アカラシアを“下部食道括約部の弛緩不全と食道体部の蠕動運動の障害を認める原因不明の食道運動機能障害”と定義し,症状として“嚥下困難,口腔内逆流,胸痛,体重減少,夜間咳嗽など”が挙げられている.また,食道X線造影像により直線型(straight type ; St型),シグモイド型(sigmoid type ; Sg型)に亜分類され,最大食道横径によりその拡張度をGrade I(d<3.5cm),Grade II(3.5≦d<6.0cm),Grade III(6.0cm≦d)に分類している1)
 以上が本邦の分類だが,国際的には高解像度食道内圧検査(high resolution manometry ; HRM)をもとにしたChicago分類ver.4が用いられる2).詳細は成書を参照されたいが,HRMの解析において最も重要な事項は一次蠕動波の有無および下部食道括約筋(lower esophageal sphincter ; LES)の弛緩の程度を示すIRP(integrated relaxation pressure)である.一次蠕動波が消失し,IRPが高値(LES弛緩不全)を示すとアカラシアと診断される.アカラシア関連疾患として,胸部食道に強度の異常収縮を来すhypercontractile esophagus(jackhammer esophagus)が挙げられる.

参考文献

1)日本食道学会(編).食道アカラシア取扱い規約,第4版.金原出版,2012
2)Yadlapati R, Kahrilas PJ, Fox MR, et al. Esophageal motility disorders on high-resolution manometry:Chicago classification version 4.0?. Neurogastroenterol Motil 33:e14058, 2021
3)Minami H, Isomoto H, Miuma S, et al. New endoscopic indicator of esophageal achalasia:“pinstripe pattern”. PLoS One 10:e0101833, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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