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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 胃
薬剤性胃粘膜障害
著者: 小澤俊文1
所属機関: 1総合犬山中央病院消化器内科
ページ範囲:P.597 - P.597
文献購入ページに移動薬剤性消化管粘膜障害は非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drugs ; NSAIDs)やアスピリン,近年ではプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor ; PPI)や漢方薬,抗癌薬,免疫チェックポイント阻害薬などで誘発される.中でも,NSAIDsのそれは古くから知られており,NSAIDs とは,ステロイド薬を除いた抗炎症作用を持つ薬物群の名称である.アスピリン(low-dose aspirin ; LDA)はカルボン酸系のNSAIDsに属するが,血管性疾患の予防治療薬として近年その使用頻度が増加している.NSAIDsはプロスタグランジン合成酵素であるCOX(cyclooxygenase)の阻害により抗炎症作用,鎮痛・解熱作用,抗血栓作用を有する.その一方で,副作用としての消化管粘膜障害には注意が必要で,消化管出血などの合併症予防は重要な課題である.
ところが,本疾患は自覚症状に乏しいのが特徴であり,約半数は痛みや食欲不振などを認めず吐下血で突然発症する.潰瘍既往歴がある患者や高齢者ほど発症頻度は顕著である.
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