文献詳細
文献概要
増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 胃
ラズベリー様腺窩上皮型胃腫瘍
著者: 柴垣広太郎1 三代剛2
所属機関: 1島根大学医学部附属病院光学医療診療部 2雲南市立病院内科
ページ範囲:P.620 - P.620
文献購入ページに移動ラズベリー様腺窩上皮型胃腫瘍は,H. pylori未感染胃の胃体部大彎と胃穹窿部に好発し,症例の約20%が多発性である(2〜4個).平均3mmほどの発赤した小隆起で,色調に注目して観察すれば発見は難しくない(Fig.1).NBI併用拡大観察では乳頭状または脳回様構造を呈し,広い窩間部に拡張した血管が視認される場合が多い.病理組織学的には乳頭状に増生する腫瘍腺管を認め,腫瘍細胞はmucin capと概ね基底層に並ぶ核を持ち,low-grade dysplasia相当の病変が多く,high-gradeでも間質浸潤を伴うことはほぼない.免疫組織化学染色では,MUC5ACが強陽性,MUC6はほぼ陰性,MUC2/CD10は陰性で,胃型(腺窩上皮型)形質を示す2).胃型腫瘍の潜在的な悪性度から,本邦では癌と診断されることも多いが,WHO分類(2019)ではfoveolar-type adenomaである.
参考文献
掲載誌情報