胃と腸57巻5号

2022年05月発行

増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 十二指腸

異所性胃粘膜

著者： 清森亮祐¹ 蔵原晃一¹

所属機関： ¹松山赤十字病院胃腸センター

ページ範囲：P.622 - P.622

　十二指腸異所性胃粘膜は胃底腺粘膜から成り，表層は胃腺窩上皮に被覆される^1）．同様に，十二指腸にみられる胃腺窩上皮化生とは，胃底腺細胞の有無により鑑別される．従来，胃腺窩上皮化生は後天性であるのに対して異所性胃粘膜は先天的な異所性組織とされてきたが，近年，胃腺窩上皮化生から連続する一連の化生性変化の一型である可能性が指摘されている^2）．また，異所性胃粘膜の一部にGNAS/KRAS変異が認められ，同様の特徴を呈する胃型腫瘍（幽門腺腺腫や胃型腺癌）の前駆病変であることが示唆されている^1）．

参考文献

1）九嶋亮治．十二指腸非乳頭部における腫瘍様病変と腫瘍の組織発生．日消誌　115：160-167, 2018

2）Hashimoto T, Sekine S, Matsubara A, et al. Frequent presence of gastric-type epithelial cells in the duodenal bulb：an immunohistochemical study. Pathol Int　64：631-633, 2014

3）平田敬，蔵原晃一，大城由美，他．十二指腸非乳頭部隆起性病変—腫瘍様病変．胃と腸　53：1596-1606, 2018

4）平田敬，蔵原晃一，八板弘樹，他．十二指腸非腫瘍性病変の拡大観察．胃と腸　54：246-258，2019