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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 下部消化管
腸管Behçet病/単純性潰瘍
著者: 久松理一1
所属機関: 1杏林大学医学部消化器内科学
ページ範囲:P.624 - P.624
文献購入ページに移動 腸管Behçet病は全身性炎症疾患であるBehçet病の特殊型として位置付けられるため,診断の前提条件として完全型あるいは不全型Behçet病と診断されている必要がある.腸管Behçet病の定型病変は回盲部の辺縁明瞭な類円形潰瘍を呈する.特にvolcano-shaped ulcerと呼ばれる深掘れ潰瘍(Fig.1a)は穿孔リスクが高い.同様の類円形潰瘍は小腸(Fig.1b),大腸(Fig.1c),食道(Fig.1d)にも認められることがある.Behçet病患者において非定型病変として消化管に多彩な潰瘍や炎症所見を認めることがあるが,これらは腸管Behçet病とは区別する.臨床症状としては発熱,体重減少,腹痛,腹部腫瘤などを主訴とし,時に血便や大量の下部消化管出血腸管を認め,消化管穿孔例では腹膜炎所見など急性腹症を呈する.食道病変を認める例では胸痛,食道気管瘻に伴う誤嚥性肺炎を併発する.
参考文献
1)武藤徹一郎.いわゆる“Simple Ulcer”とは.胃と腸 14:739-748, 1979
2)渡辺英伸,遠城寺宗知,八尾恒良.回盲弁近傍の単純性潰瘍の病理.胃と腸 14:749-767, 1979
3)日本ベーチェット病学会(監),厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)ベーチェット病に関する調査研究班,難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班(編).ベーチェット病診療ガイドライン2020.診断と治療社,2020
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