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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻5号

2022年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 下部消化管

大腸鋸歯状病変

著者: 山野泰穂1

所属機関: 1札幌医科大学医学部消化器内科学講座

ページ範囲:P.626 - P.627

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 大腸鋸歯状病変とは鋸歯状構造を有する腺管で構成される病変の総称である.古くはHP(hyperplastic polyp)とされてきたが,腺腫性の細胞異型を伴う病変も指摘されるようになり,いくつかの名称に分派したものの,2010年のWHO分類1)で集約された(Table 1左).特にSSA/P(sessile serrated adenoma/polyp)はBRAF変異,高メチル化を特徴とし,MSI(microsatellite instability)陽性大腸癌の前駆病変と考えられ,第3のcancer pathwayとして近年注目されてきた.内視鏡診断においてはある程度確立されており,拡大内視鏡が有用である2).HPは直腸とS状結腸を主として同色調ないしやや白色調の平坦病変で粘液をほぼ伴わず,II型pit patternを呈する.SSA/Pは同色調ないしやや白色調の表面隆起型または無茎性隆起型で,粘液で覆われていることが多く,ほぼ均一な開II型pit patternを示すことが特徴である(Fig.1)3).このSSA/Pを基盤にIIIL型やIV型様などの異なるpitを有する病変はSSA/P with cytological dysplasiaが示唆され,特にVI型を伴う病変は癌化が示唆される(Fig.2)3).また,TSA(traditional serrated adenoma)に関しては,弱発赤調〜発赤した隆起主体の病変で枝サンゴ状や松毬様の構造をとり,拡大観察では鋸歯状構造を伴ったIV型(鋸IV型)を伴うことが特徴である(Fig.3)3)

参考文献

1)Bosman FT, Carneiro F, Hruban RH, et al(eds). WHO classification of Tumours of the Digestive System, 4th ed. IARC press, Lyon, 2010
2)松下弘雄,吉川健二郎,田中義人,他.大腸鋸歯状病変の内視鏡診断.胃と腸 55:684-700, 2020
3)山野泰穂,松下弘雄,田中義人,他.大腸鋸歯状病変の拡大内視鏡観察.胃と腸 54:48-56, 2019
4)WHO Classification of Tumours Editorial Board(eds). WHO Classification of Tumours, Digestive System Tumors, 5th ed. IARC press, Lyon, 2019
5)Hashimoto T, Tanaka Y, Ogawa R, et al. Superficially serrated adenoma:a proposal for a novel subtype of colorectal serrated lesion. Mod Pathol 31:1588-1598, 2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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