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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻5号

2022年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 下部消化管

腸管リンパ腫

著者: 池上幸治1 中村昌太郎23

所属機関: 1松山赤十字病院胃腸センター 2国際医療福祉大学医学部消化器内科 3高邦会高木病院消化器センター

ページ範囲:P.632 - P.633

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 悪性リンパ腫には節性リンパ腫と節外性リンパ腫があり,節外性リンパ腫はB細胞リンパ腫とNK/T細胞リンパ腫に大別される.節外性リンパ腫の30〜40%は消化管に発生し,胃に最も多くみられ,次いで小腸,大腸の順である.腸管リンパ腫は多発することが多く,癌と比べ伸展性が保たれる傾向がある.病変境界部はなだらかでoverhanging edgeを認めず,潰瘍周囲の耳介様周堤が特徴的である.国際的に確立された肉眼分類はないが,筆者らは①隆起型,②潰瘍型(狭窄型,非狭窄型,動脈瘤型),③ MLP(multiple lymphomatous polyposis)型,④びまん型,⑤混合型,の5型に分類している1)
 確定診断には病理組織学的検査,特に免疫組織化学染色が必須であり,FISH法(fluorescence in situ hybridization)による染色体転座の検査も有用である.組織型分類は2017年のWHO分類改訂第4版2)に従う.腸管リンパ腫では,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma ; DLBCL)が最も多く,胃では頻度の低い濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma ; FL)が約1/4を占める.MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫やNK/T細胞リンパ腫も比較的多く,マントル細胞リンパ腫やBurkittリンパ腫もみられる.MALTリンパ腫の特殊型である免疫増殖性小腸病(immunoproliferative small intestinal disease ; IPSID)も存在する.腸症関連T細胞リンパ腫(enteropathy-associated T-cell lymphoma)は,セリアック病に合併するもの(従来のI型)に限定され,従来のII型は単形性上皮向性腸管T細胞リンパ腫(monomorphic epitheliotropic intestinal T-cell lymphoma ; MEITL,Fig.1)と改称された.

参考文献

1)Nakamura S, Matsumoto T, Takeshita M, et al. A clinicopathologic study of primary small intestine lymphoma:prognostic significance of mucosa-associated lymphoid tissue-derived lymphoma. Cancer 88:286-294, 2000
2)Swerdlow SH, Campo E, Harris NL, et al(eds). WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, 4th ed. IARC press, Lyon, 2017
3)中村昌太郎,松本主之,池上幸治,他.空・回腸悪性リンパ腫168例の臨床病理学的特徴—X線・内視鏡所見を中心に.胃と腸 48:1461-1473, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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