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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻5号

2022年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 下部消化管

LST(laterally spreading tumor)

著者: 岡志郎1 田中信治2

所属機関: 1広島大学病院消化器・代謝内科 2広島大学大学院医系科学研究科内視鏡医学

ページ範囲:P.634 - P.635

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 大腸側方発育型腫瘍(laterally spreading tumor ; LST)とは,工藤ら1)によって提唱された最大径10mm以上の水平発育する大腸腫瘍群に対する呼称である.“LST”という用語は,病変の臨床病理学的特徴や発育形態を包括した表現型であるため病変の特徴がイメージしやすく臨床上使用しやすいが,“LST”は発育形態分類であり,肉眼形態分類とは異なる.
 従来,側方に発育する大腸病変は,佐竹ら2)による花壇様を呈する隆起性病変の報告に始まり,平盤様隆起,carpet lesion,IIa集簇様病変,creeping tumorなどさまざまな呼称を経て,“結節集簇型病変”と呼称されるようになった.その後,工藤ら1)は結節のない平坦な側方発育型病変の存在を明らかにし,側方に発育するすべての大腸病変が“結節集簇型病変”では表現できないとして,側方発育する10mm以上の大腸腫瘍を“LST”と定義した.この点に関しては,2008年2月に開催された京都ワークショップ「International workshop on nonpolypoid mucosal colorectal neoplasia」において国際的なコンセンサスが得られている3).これを経て,「大腸癌取扱い規約 第8版」4)に大腸LSTの定義が典型的内視鏡画像,肉眼型との関係も含めて明記された.これまで世界的に使用されていた“LST”という用語が,コンセンサスが得られた定義で規約に掲載された意義は大きい.

参考文献

1)工藤進英(編著).Lateral Spreading Tumor(LST)—Creeping Tumor.早期大腸癌—平坦・陥凹型へのアプローチ.医学書院,pp 42-44, 1993
2)佐竹儀治,藤田力也,川瀬定夫,他.花壇様隆起を示した大腸腺管腺腫の1例.胃と腸 14:1557-1561, 1979
3)Kudo S, Lambert R, Allen JI, et al. Nonpolypoid neoplastic lesions of the colorectal mucosa. Gastrointest Endosc 68(Suppl):S3-47, 2008
4)大腸癌研究会(編).大腸癌取扱い規約,第8版.金原出版,2013
5)Shigita K, Oka S, Tanaka S, et al. Clinical significance and validity of the subclassification for colorectal laterally spreading tumor granular type. J Gastroenterol Hepatol 31:973-979, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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