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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 下部消化管
Crohn病
著者: 竹中健人1
所属機関: 1東京医科歯科大学消化器内科
ページ範囲:P.642 - P.643
文献購入ページに移動 Crohn病は,原因不明で,主として若年者に発症し,小腸・大腸を中心に浮腫や潰瘍を認め,繰り返す炎症の結果,腸管狭窄や瘻孔など特徴的な病態を生じる疾患である.炎症の多くは遠位回腸中心に認めるとされているが,実際には口腔〜肛門までの消化管のあらゆる場所に起こりうる.臨床像は病変の部位や範囲によるが,下痢や腹痛などの消化器症状と発熱や体重減少・栄養障害などの全身症状を認め,貧血・関節炎・皮膚病変などの合併症に由来する症状も呈する.病変は寛解・再燃を繰り返しながら進行し,患者が治療に抵抗して社会生活が損なわれる前にしっかりと炎症を治療することが重要である.
診断には,慢性的な症状から本疾患を疑うことに加え,大腸内視鏡検査による評価が最も重要であるが,詳細な病歴の聴取や細菌学的・寄生虫学的検査を行って他疾患を除外することも必要である.内視鏡検査にて縦走潰瘍または敷石像を認めた場合には確診例となる(Fig.1).典型的な内視鏡所見を欠く場合にも,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫の証明で確定診断されるため積極的に粘膜生検を行う.また,消化管の広範囲に認める類円形潰瘍またはアフタ,特徴的な肛門病変,特徴的な胃・十二指腸病変も副所見として診断に有用である(Fig.2).
診断には,慢性的な症状から本疾患を疑うことに加え,大腸内視鏡検査による評価が最も重要であるが,詳細な病歴の聴取や細菌学的・寄生虫学的検査を行って他疾患を除外することも必要である.内視鏡検査にて縦走潰瘍または敷石像を認めた場合には確診例となる(Fig.1).典型的な内視鏡所見を欠く場合にも,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫の証明で確定診断されるため積極的に粘膜生検を行う.また,消化管の広範囲に認める類円形潰瘍またはアフタ,特徴的な肛門病変,特徴的な胃・十二指腸病変も副所見として診断に有用である(Fig.2).
参考文献
1)Takenaka K, Ohtsuka K, Kitazume Y, et al. Utility of magnetic resonance enterography for small bowel endoscopic healing in patients with Crohn's disease. Am J Gastroenterol 113:283-294, 2018
2)Takenaka K, Fujii T, Suzuki K, et al. Small bowel healing detected by endoscopy in patients with Crohn's disease after treatment with antibodies against tumor necrosis factor. Clin Gastroenterol Hepatol 18:1545-1552, 2020
3)Takenaka K, Kitazume Y, Fujii T, et al. Objective evaluation for treat to target in Crohn's disease. J Gastroenterol 55:579-587, 2020
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