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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻5号

2022年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 下部消化管

直腸粘膜脱症候群

著者: 佐野村誠1 沼圭次朗2

所属機関: 1北摂総合病院消化器内科 2大阪医科薬科大学第2内科

ページ範囲:P.646 - P.646

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 直腸粘膜脱症候群(mucosal prolapse syndrome of the rectum ; MPS)は,繰り返す直腸の粘膜脱により形成される疾患の総称である.排便時の出血,残便感,肛門痛などの症状を示し,背景に排便習慣異常がある.長時間にわたる排便時の過度ないきみにより,直腸粘膜や直腸壁の脱出が起き,慢性的な機械的刺激や虚血性変化,過形成性変化により,主に直腸前壁に隆起や潰瘍を形成する.病理組織学的には,線維筋症(fibromuscular obliteration)と呼ばれる粘膜固有層の線維筋組織の増生が特徴的である(Fig.1).
 名称の定義や呼称には変遷と混乱があり,非腫瘍性慢性直腸潰瘍,孤立性直腸潰瘍,孤立性直腸潰瘍症候群(solitary rectal ulcer syndrome ; SRUS)などと報告されていたが,1983年にdu Boulayら1)はSRUSと直腸粘膜脱は本質的に同じであるとし,直腸粘膜脱症候群と呼称することを提唱した.

参考文献

1)du Boulay CE, Fairbrother J, Isaacson PG. Mucosal prolapse syndrome—a unifying concept for solitary ulcer syndrome and related disorders. J Clin Pathol 36:1264-1268, 1983
2)太田玉紀,味岡洋一,渡辺英伸.直腸の粘膜脱症候群—病理の立場から.胃と腸 25:1301-1311, 1990
3)大川清孝,青木哲哉,上田渉,他.直腸粘膜脱症候群診断のこつ.Gastroenterol Endosc 56:494-503, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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