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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻5号

2022年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 下部消化管

急性出血性直腸潰瘍

著者: 萬春花1 松下弘雄1

所属機関: 1秋田赤十字病院消化器病センター

ページ範囲:P.647 - P.647

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 急性出血性直腸潰瘍(acute hemorrhagic rectal ulcer ; AHRU)は,重症基礎疾患を有する高齢者に無痛性および突然の新鮮血便で発症する直腸潰瘍である.内視鏡所見の特徴としては,潰瘍の局在が歯状線に接するか,その近傍の下部直腸(Rb)に限局して発生し,潰瘍の性状は,不整形の地図状や帯状で,管腔の1/3〜全周性に達することもある1)〜3)
 患者背景に脳血管障害,肺炎,脱水症,糖尿病性ケトアシドーシス,化膿性胆管炎,腎不全など基礎疾患を有する高齢者で多く,男女比ではやや女性に多い傾向がある.宿便や非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drugs ; NSAIDs)坐剤の使用がないことで宿便性潰瘍やNSAIDs坐剤起因性直腸潰瘍と区別される.AHRUの成因は重症基礎疾患に起因するストレスや血流障害が関与しているとされる.

参考文献

1)広岡大司,湯浅肇,板倉恵子.急性出血性直腸潰瘍—臨床像を中心に.Gastroenterol Endosc 26:1344-1350, 1984
2)河野裕利,勝見正治,浦伸三,他.脳疾患患者にみられた急性出血性直腸潰瘍の2症例.日本大腸肛門病会誌 33:222-227, 1980
3)広岡大司,大地宏昭,岸本明,他.急性出血性直腸潰瘍.胃と腸 22:297-302, 1987

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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