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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 下部消化管
血管性病変
著者: 矢野智則1
所属機関: 1自治医科大学内科学講座消化器内科学部門
ページ範囲:P.649 - P.649
文献購入ページに移動 消化管の血管性病変に対する用語は,医学や検査技術の進歩とともに,さまざまな用語が使われてきたが,あいまいな定義で使われている場合も多く,混乱しやすい.広義の血管性病変は,血管腫や血管肉腫などの腫瘍性病変なども含まれるが,臨床現場で多く扱う血管性病変は病理組織学的に,①静脈・毛細血管の特徴を持つ病変,②動脈の特徴を持つ病変,③動脈と静脈の特徴を持つ病変,の3種類である1).
静脈・毛細血管の特徴を持つ病変は,粘膜下層の正常静脈と,その上層の粘膜固有層の毛細血管の拡張から成る数mm大の微細な限局性血管性病変で,angioectasiaと呼ばれている.拡張した血管が多数放射状に存在し,血管の集簇度が高いと均質で境界明瞭な円形斑(Fig.1)となり,疎な場合は境界不明瞭な滲み斑(Fig.2)となる2).他に,angiodysplasiaと呼ばれることもあるが,angiodysplasiaは血管性病変の総称として用いられている場合もある.世界消化器内視鏡学会(World Endoscopy Organization ; WEO)のMinimal Standard Terminology 3.0に基づいた日本消化器内視鏡学会の「消化器内視鏡用語集 第4版」3)では,angioectasia(英国英語)とangiectasia(米国英語)が採用されている.
静脈・毛細血管の特徴を持つ病変は,粘膜下層の正常静脈と,その上層の粘膜固有層の毛細血管の拡張から成る数mm大の微細な限局性血管性病変で,angioectasiaと呼ばれている.拡張した血管が多数放射状に存在し,血管の集簇度が高いと均質で境界明瞭な円形斑(Fig.1)となり,疎な場合は境界不明瞭な滲み斑(Fig.2)となる2).他に,angiodysplasiaと呼ばれることもあるが,angiodysplasiaは血管性病変の総称として用いられている場合もある.世界消化器内視鏡学会(World Endoscopy Organization ; WEO)のMinimal Standard Terminology 3.0に基づいた日本消化器内視鏡学会の「消化器内視鏡用語集 第4版」3)では,angioectasia(英国英語)とangiectasia(米国英語)が採用されている.
参考文献
1)岩下明德,尾石樹泰,八尾隆史,他.腸管の血管性病変の病理学的鑑別診断.胃と腸 35:771-784, 2000
2)酒井義浩,須田浩晃,小林博之,他.大腸のangiectasiaとangiodysplasia.胃と腸 35:763-769, 2000
3)日本消化器内視鏡学会用語委員会(編).消化器内視鏡用語集,第4版.医学図書出版,2018
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