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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻5号

2022年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 下部消化管

CEAS(chronic enteropathy associated with SLCO2A1 gene)

著者: 梅野淳嗣1 鳥巣剛弘1

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院病態機能内科学

ページ範囲:P.651 - P.651

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 CEAS(chronic enteropathy associated with SLCO2A1 gene)は,小腸や上部消化管に浅い潰瘍性病変や変形が多発するまれな腸疾患で,プロスタグランジン輸送体をコードするSLCO2A1遺伝子の変異を原因とする1).病理学的には肉芽腫などの特異的炎症所見を認めないのが特徴である.性比(男性:女性)は1:2で女性に多く,発症年齢(中央値)は1〜69(19)歳と症例ごとに大きく異なっている2).多発潰瘍からの持続的な潜出血による慢性の貧血と低蛋白血症はほぼ必発であり,長期的には腸管狭窄を来し,しばしば外科的切除が必要となる.ばち指,皮膚肥厚や骨膜症などの腸管外徴候が診断の助けとなることもある1).確定診断には遺伝学的検査が有用である.
 小腸病変の好発部位は中部〜下部回腸であり,X線造影検査では腸間膜の付着位置と関係なく存在する非対称性の変形が特徴である(Fig.1)1).多発狭窄を有する症例では囊状の拡張がみられる.内視鏡所見は輪走,斜走および縦走する浅い潰瘍が特徴的である(Fig.2a)1).潰瘍の辺縁は整であり,周囲の粘膜の浮腫性変化は軽度である.病変の瘢痕化に伴いらせん状の変形,偽憩室や求心性の狭窄を来す(Fig.2b).

参考文献

1)梅野淳嗣,江﨑幹宏,平野敦士.非特異性多発性小腸潰瘍症/CEASの臨床像と鑑別診断.胃と腸 52:1411-1422, 2017
2)梅野淳嗣,冬野雄太,松野雄一,他.非特異性多発性小腸潰瘍症/CEAS.日本大腸肛門病会誌 74:581-587, 2021

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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