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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻5号

2022年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 下部消化管

GVHD関連腸炎

著者: 横山佳浩1 仲瀬裕志1

所属機関: 1札幌医科大学医学部消化器内科学講座

ページ範囲:P.655 - P.655

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 移植片対宿主病(graft-versus-host disease ; GVHD)はドナーリンパ球がレシピエントの組織適合抗原を非自己と認識し,免疫学的に攻撃する反応である.GVHD関連腸炎の病態は主にドナー由来の組織傷害性T細胞による腸管上皮細胞への直接傷害,T細胞由来のサイトカインによる組織傷害と考えられており,近年では腸管幹細胞への傷害や腸内細菌叢の異常も病態に関与することが明らかとなっている1).GVHD関連腸炎の多くは移植後100日以内にみられ(古典的急性GVHD),100日以降に発症する非典型例は遅発性急性GVHDと定義する2).病変は全消化管に発生するとされているが,小腸が好発部位とされている.
 内視鏡所見は浮腫,発赤,びらん,血管透見像の低下,潰瘍粘膜脱落など多彩である(Fig.1).中でも大腸のorange peel appearanceや亀甲状粘膜(tortoise shell-like mucosa)が特徴的とされている3)(Fig.2).しかしながら,正常粘膜にみえる症例も存在するため,病理学的評価が必須である.

参考文献

1)Ara T, Hashimoto D. Novel insights into the mechanism of GVHD-induced tissue damage. Front Immunol 12:713631, 2021
2)日本造血幹細胞移植学会.造血細胞移植ガイドラインGVHD,第4版.2018
3)Naymagon S, Naymagon L, Wong SY, et al. Acute graft-versus-host disease of the gut:considerations for the gastroenterologist. Nat Rev Gastroenterol Hepatol 14:711-726, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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