文献詳細
文献概要
増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 下部消化管
Clostridioides difficile関連性腸炎
著者: 吉田篤史1
所属機関: 1大船中央病院消化器・IBDセンター
ページ範囲:P.656 - P.656
文献購入ページに移動 C. difficile(Clostridioides difficile)は偏性嫌気性グラム陽性桿菌で,芽胞を形成することによって各種抗菌薬に耐性を示す.C. difficileは1935年に初めて分離され,当時は分離が非常に困難であったことから,ラテン語で“困難な”を意味するdiffi・cileがその名の由来となっている.最近の遺伝子解析でFirmicutes門Clostridia綱Clostridiales目Peptostreptococcaceae科であることがわかり,2016年にClostridiumからClostridioidesに改名された.
C. difficileは河川や海水や土壌などの環境中に存在し,ペット,家畜,健常者の腸管からも検出されるが,正常な細菌叢を持つ健常者の腸内では増殖は抑制されている.しかし,抗菌薬の投与によって腸内細菌叢が乱れると,腸管内で毒素を産生するC. difficileが異常増殖し,発熱や下痢を引き起こし,C. difficile感染症(C. difficile infection ; CDI)を発症する.また,これらをC. difficile関連下痢症(C. difficile-associated diarrhea ; CDAD)やC. difficile関連性腸炎(C. difficile associated colitis ; CDC)と称することもある.有症状でC. difficile toxin陽性であればCDIと診断される.しかし,C. difficile toxinの検査をもってしてもCDI患者の58〜84%程度しか陽性にならず(感度),C. difficile toxin陰性でも否定はできない1).
C. difficileは河川や海水や土壌などの環境中に存在し,ペット,家畜,健常者の腸管からも検出されるが,正常な細菌叢を持つ健常者の腸内では増殖は抑制されている.しかし,抗菌薬の投与によって腸内細菌叢が乱れると,腸管内で毒素を産生するC. difficileが異常増殖し,発熱や下痢を引き起こし,C. difficile感染症(C. difficile infection ; CDI)を発症する.また,これらをC. difficile関連下痢症(C. difficile-associated diarrhea ; CDAD)やC. difficile関連性腸炎(C. difficile associated colitis ; CDC)と称することもある.有症状でC. difficile toxin陽性であればCDIと診断される.しかし,C. difficile toxinの検査をもってしてもCDI患者の58〜84%程度しか陽性にならず(感度),C. difficile toxin陰性でも否定はできない1).
参考文献
1)日本化学療法学会/日本感染症学会CDI診療ガイドライン作成委員会(編).Clostridioides(Clostridium)difficile感染症診療ガイドライン.杏林舎,2018
2)Baker SJ, Chu DI. Physical, laboratory, radiographic, and endoscopic workup for Clostridium difficile colitis. Clin Colon Rectal Surg 33:82-86, 2020
3)Khanna S, Shin A, Kelly CP. Management of Clostridium difficile infection in inflammatory bowel disease:expert review from the clinical practice updates committee of the AGA Institute. Clin Gastroenterol Hepatol 15:166-174, 2017
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