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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 下部消化管
クラミジア直腸炎
著者: 清水誠治1 小木曽聖1
所属機関: 1大阪鉄道病院消化器内科
ページ範囲:P.662 - P.662
文献購入ページに移動 クラミジア直腸炎の原因となる病原体はC. trachomatis(Chlamydia trachomatis)であり,真核生物の円柱上皮細胞内でのみ増殖可能な偏性細胞内寄生体(細菌)である.若年者の女性に好発するが,男性同性愛者にもみられる.ほとんどが性感染症であり,感染経路として,①経肛門的な直接感染,②感染腟分泌物の肛門部汚染,③子宮頸管・腟・尿道からのリンパ行性が考えられている.症状は,排便時の出血,粘血便,肛門痛,肛門部掻痒感などであるが,不顕性感染も多い.C. trachomatisは直腸炎の他に咽頭炎,結膜炎,男性では尿道炎,精巣上体炎,女性では子宮頸管炎,卵巣炎,骨盤炎症性疾患,肝周囲炎の原因となる.感染症法では性器クラミジア感染症が5類感染症として性感染症定点医療機関からの報告が義務付けられている.
内視鏡検査で直腸に本症を疑う病変がみられた症例において,直腸粘膜の擦過検体を用いた抗原検出法か核酸増幅法で診断されるが,最近は感度・特異度が高い後者を用いるのが一般的である.しかし,直腸病変に対する保険適用はない.
内視鏡検査で直腸に本症を疑う病変がみられた症例において,直腸粘膜の擦過検体を用いた抗原検出法か核酸増幅法で診断されるが,最近は感度・特異度が高い後者を用いるのが一般的である.しかし,直腸病変に対する保険適用はない.
参考文献
1)池谷賢太郎,丸山保彦,景岡正信,他.クラミジア直腸炎.胃と腸 43:1663-1669, 2008
2)松井佐織,吉田晋也,野口千彰,他.最近注目される腸管感染症—クラミジア直腸炎.胃と腸 53:441-445, 2018
3)清水誠治.大腸 Case3.胃と腸 56:1220-1223, 2021
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