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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻5号

2022年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 全消化管

Cronkhite-Canada症候群

著者: 伊東傑1 穂苅量太1

所属機関: 1防衛医科大学校病院消化器内科

ページ範囲:P.666 - P.666

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 Cronkhite-Canada症候群は,消化管に過誤腫性のポリポーシスを認める非遺伝性の疾患であり,蛋白漏出性胃腸症を合併する.消化管外症状として,爪の萎縮,脱毛,色素沈着など特徴的な皮膚症状を呈し,診断の一助となる.主に高齢者の疾患であり,診断時の年齢は平均60歳代で,男女比は男性に多く約1.8倍である1).成因についてはいまだ明らかにされていないが,ステロイドの高い奏効率から免疫異常の関与が想定される.
 Cronkhite-Canada症候群では,胃・大腸でほぼ全例にポリープの多発を認め,食道や小腸にも小ポリープや発赤粘膜,浮腫がみられることがある.特徴的な内視鏡所見として,胃ではポリープは“イクラ状(red caviar like)”と表現され,上皮の強い浮腫と充血を伴い,半球状のポリープが密集する2).前庭部〜胃角部に好発し,胃体部に少なく,その分布様式から,ポリープ間に健常粘膜が介在し,介在粘膜に炎症や浮腫を認めない“散在型”,ポリープが密集し,間に介在する粘膜がほとんど確認されない“密集型”に分類される.また,密集型の亜型として,ポリープ間の介在粘膜に炎症や浮腫を認める“類密集型”,ポリープの形状および大小を判別できないが,観察範囲内がすべて炎症もしくは浮腫性変化で肥厚している“肥厚型”などの分類が提唱されている(Fig.1)3)

参考文献

1)渡辺知佳子,三浦総一郎,穂苅量太.指定難病最前線(Volume 62)—クロンカイト・カナダ症候群の診断と治療.新薬と臨 67:738-741, 2018
2)渡辺知佳子,穂苅量太,三浦総一郎.その他のポリポーシス疾患—クロンカイト・カナダ症候群を中心に.日消誌 114:431-437, 2017
3)久松理一,穂苅量太,松本主之,他.Cronkhite-Canada症候群内視鏡アトラス.厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業,2021

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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