文献詳細
増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022
疾患 全消化管
文献概要
若年性ポリポーシス症候群(juvenile polyposis syndrome ; JPS)は過誤腫性ポリープである若年性ポリープ(juvenile polyp ; JP)が消化管に多発する疾患で,その約3/4は常染色体顕性(優性)遺伝形式を示すが,約1/4は孤発例である.主な原因遺伝子はともにTGFβ(transforming growth factor β)ファミリーに属し細胞の増殖やアポトーシスを制御する腫瘍抑制遺伝子であるSMAD4(遺伝子座は18q21.1)とBMPR1A(遺伝子座は10q22.3)で,両者合わせて陽性率は60%程度である1).SMAD4変異例は高度な胃病変を呈し,2割程度に遺伝性出血性毛細血管拡張症を合併する.その他JPSの原因遺伝子かどうかは明らかではないが,EndoglinやPTENの変異例もある.
ポリープは数個〜300個で,大腸,胃,小腸の順に多く,症状としてはポリープによる出血,重積,蛋白漏出性胃腸症以外に先天奇形(精神運動発達遅延,心血管奇形,停留睾丸など)の合併もみられる.また,消化器癌(胃癌,大腸癌,小腸癌,膵癌)発症の高リスク群でもある.①大腸に5個以上のJPが認められる,②消化管の2臓器以上に複数のJPが認められる,③家族歴を有しかつJPが認められる,④胃に10個以上のJPが認められる,のいずれかを満たせばJPSと診断される2).
ポリープは数個〜300個で,大腸,胃,小腸の順に多く,症状としてはポリープによる出血,重積,蛋白漏出性胃腸症以外に先天奇形(精神運動発達遅延,心血管奇形,停留睾丸など)の合併もみられる.また,消化器癌(胃癌,大腸癌,小腸癌,膵癌)発症の高リスク群でもある.①大腸に5個以上のJPが認められる,②消化管の2臓器以上に複数のJPが認められる,③家族歴を有しかつJPが認められる,④胃に10個以上のJPが認められる,のいずれかを満たせばJPSと診断される2).
参考文献
1)Aretz S, Stienen D, Uhlhaas S, et al. High proportion of large genomic deletions and a genotype phenotype update in 80 unrelated families with juvenile polyposis syndrome. J Med Genet 44:702-709, 2007
2)Latchford AR, Neale K, Phillips RKS, et al. Juvenile polyposis syndrome:a study of genotype, phenotype, and long-term outcome. Dis Colon Rectum 55:1038-1043, 2012
掲載誌情報