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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻5号

2022年05月発行

文献概要

増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 疾患 全消化管

粘膜下腫瘍

著者: 依光展和1 入口陽介1

所属機関: 1東京都がん検診センター消化器内科

ページ範囲:P.670 - P.670

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 粘膜下腫瘍(submucosal tumor ; SMT)とは“粘膜より深部に存在する壁内病変により粘膜が挙上されて生じた隆起の総称”とされ1),典型例では平滑な正常粘膜に覆われた,なだらかに立ち上がる隆起性病変の形態を示す(Fig.1).隆起の立ち上がりは病変が粘膜に近いほど急峻に,離れるほどなだらかになるため,X線造影検査および内視鏡検査の側面像から病変の主座を推測することができる(Fig.1b).また,粘膜ひだが隆起を橋のように乗り越えるbridging fold(架橋ひだ)を伴うことがあり,特徴的な所見とされる(Fig.1a).隆起の表面は周囲粘膜と同様の所見を呈するが,腫瘍の増大や粘膜層への近接・浸潤により陥凹・潰瘍を形成することがあり,delleと呼称される(Fig.1,2).辺縁不整,増大傾向とともに潰瘍形成は悪性腫瘍を疑う所見である2)
 SMTの多くは,粘膜下層以深にあるさまざまな組織や細胞から発生した非上皮性腫瘍であるが,迷入膵や異所性胃粘膜,腸管子宮内膜症などの非腫瘍性病変もSMT様の形態を示す.delleがない場合は,病変が粘膜面に露出していないことが多く,通常の生検で病変組織を得ることは困難であるが,ボーリング生検やEMR(endoscopic mucosal resection)などにて粘膜下層を露出した後の生検で組織を採取できれば,病理診断が可能となる.超音波内視鏡下穿刺吸引法(endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration ; EUS-FNA)であれば,固有筋層以深に主座がある病変であっても組織の採取が可能であり,病理診断を行うことができる.

参考文献

1)日本消化器内視鏡学会用語委員会(編).消化器内視鏡用語集,第4版.2018
2)日本癌治療学会GISTガイドライン委員会(編).GIST診療ガイドライン,第3版.2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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