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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022 病理
dysplasia(異形成)
著者: 味岡洋一1
所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野
ページ範囲:P.720 - P.720
文献購入ページに移動 dysplasia(異形成)は,元来(病理総論的には)細胞の分化・形成異常の表現であり,細胞の大きさ,形態,配列の異常などを示す,正常とは異なる増殖性病変に対して用いられる用語である.したがって,腫瘍性病変に限定されるものではない.しかし,間質浸潤をもって“癌”と診断する欧米の消化管病理では,基底膜を破らず上皮内にとどまる上皮性腫瘍に対してdysplasiaが用いられている1)2).胃・腸では,dysplasiaの中で限局性の隆起を形成するものはadenoma(腺腫)と呼ばれ1),一般に平坦,陥凹,周囲との境界が不明瞭なものがdysplasiaと呼ばれる傾向にある2).dysplasiaはその組織異型度からlow-gradeとhigh-gradeに二分されるが3),high-grade dysplasiaには上皮内癌(carcinoma in situ)が含まれるとしている.
病理診断名とは別に,adenoma with high-grade dysplasiaのように,腫瘍性病変の組織異型を表現する用語としてもdysplasiaは用いられることがある.類縁語としてatypiaがあるが,atypiaは腫瘍,非腫瘍全般に対して用いることができる(例:regenerative atypia)のに対し,dysplasiaは腫瘍に対してのみ用いられる.
病理診断名とは別に,adenoma with high-grade dysplasiaのように,腫瘍性病変の組織異型を表現する用語としてもdysplasiaは用いられることがある.類縁語としてatypiaがあるが,atypiaは腫瘍,非腫瘍全般に対して用いることができる(例:regenerative atypia)のに対し,dysplasiaは腫瘍に対してのみ用いられる.
参考文献
1)Williams GT. Dysplasia in the large intestine. Pathol Res Pract 180:656-664, 1985
2)Jass RJ. Vienna consensus criteria for pathological diagnosis. In Fujita R, Jass JR, Kaminishi M, et al(eds). Early Cancer of the Gastrointestinal Tract, Springer-Verlag, Tokyo, p 135, 2006
3)Odze RD, Riddell RH, Bosman FT, et al. Premalignant lesions of the digestive system. In Bosman FT, Carneiro F, Hruban RH, et al(eds). WHO Classification of Tumours of the Digestive System, 4th ed. IARC press, Lyon, pp 10-12, 2010
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