胃と腸57巻6号

2022年05月発行

早期胃癌研究会症例

二段隆起を呈した十二指腸神経内分泌腫瘍（NET G2）の1例

著者： 和田将史¹² 隅田頼信¹² 原田直彦¹² 秋吉遥子¹² 藤井宏行¹² 井星陽一郎¹² 中牟田誠¹² 桃崎征也²³ 松浦秀司²⁴ 伊原栄吉⁵

所属機関： ¹国立病院機構九州医療センター消化器内科 ²国立病院機構九州医療センター臨床研究センター ³国立病院機構九州医療センター病理診断科 ⁴国立病院機構九州医療センター放射線科 ⁵九州大学大学院医学研究院消化器代謝学

ページ範囲：P.844 - P.850

文献概要

要旨●患者は70歳代，女性．近医で十二指腸病変を指摘されたため，当科に紹介され受診となった．十二指腸内視鏡検査で十二指腸球部後壁に径20mm大の二段隆起を呈する粘膜下腫瘍様隆起性病変を認め，上部に広く浅い潰瘍を形成していた．潰瘍からの生検で神経内分泌腫瘍（NET）の診断となり，十二指腸部分切除術・リンパ節郭清が施行された．切除標本病理学的所見はNET G2，pT3（SS），ly0，v1であり，リンパ節転移を認めた．本症例は上皮が欠損し，さらに表層に腫瘍自体が露出し，かつ二段隆起を呈した症例であった．

参考文献

1）日本神経内分泌腫瘍研究会（JNETS）膵・消化管神経内分泌腫瘍診療ガイドライン第2版作成委員会（編）．膵・消化管神経内分泌腫瘍（NEN）診療ガイドライン，第2版．金原出版，pp 43-44, 2019

2）Soga J, Tazawa K. Pathologic analysis of carcinoids. Histologic reevaluation of 62 cases. Cancer　28：990-998, 1971

3）Ito T, Sasano H, Tanaka M, et al. Epidemiological study of gastroenteropancreatic neuroendocrine tumors in Japan. J Gastroenterol　45：234-243, 2010

4）森山智彦，江﨑幹宏，綾部俊一郎，他．十二指腸・小腸内分泌細胞腫瘍（カルチノイド）の臨床病理学的特徴．胃と腸　48：993-1003, 2013

5）横井千寿，後藤田卓志，下田忠和，他．消化管カルチノイドの診断と治療—十二指腸・小腸．胃と腸　39：583-591, 2004

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8）笠島敦子，笹野公伸．膵・消化管内分泌腫瘍の病理組織像と最近の話題．日内分泌・甲状腺外会誌　31：284-289, 2014