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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻8号

2022年07月発行

文献概要

今月の主題 転移性消化管腫瘍 主題

転移性大腸腫瘍の画像診断・形態学的特徴

著者: 田中秀典1 平賀裕子2 朝山直樹2 永田信二3 岡志郎4 田中信治1

所属機関: 1広島大学病院内視鏡診療科 2県立広島病院内視鏡内科 3広島市立北部医療センター安佐市民病院消化器内科 4広島大学病院消化器・代謝内科

ページ範囲:P.1027 - P.1039

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要旨●当院を含めた3施設で2010年1月〜2021年12月の間に転移性大腸腫瘍96例113病変の臨床的特徴と内視鏡所見を検討した.原発臓器は胃と卵巣が各21例と最多で,次いで膵臓12例,子宮8例の順に多かった.転移経路は腹膜播種転移が45例と最多で,直接浸潤が35例,血行性・リンパ行性転移が16例で,86例が単発転移であった.胃癌や膵癌では腹膜播種転移,卵巣癌,子宮癌,膀胱癌や前立腺癌では直接浸潤,肺癌では血行性・リンパ行性転移が多かった.直接浸潤や腹膜播種転移では管腔狭小化を来す例が多く,直接浸潤ではびらんや潰瘍を伴うなだらかな粘膜下腫瘍(SMT)様隆起,腹膜播種転移では敷石様粘膜,血行性・リンパ行性転移ではSMT様の立ち上がりを呈する潰瘍やびらん,上皮性腫瘍様の形態が特徴的であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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