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今月の主題 胃癌スクリーニングの課題と将来展望 序説
胃癌スクリーニングの課題と将来展望
著者: 入口陽介1
所属機関: 1東京都立病院機構東京都立がん検診センター
ページ範囲:P.1097 - P.1102
文献購入ページに移動はじめに
1950〜1970年代,胃癌は日本の国民病とも言われ,癌の部位別罹患率,死亡率がともに圧倒的第1位(Fig.1)1)であったことから,救命可能な早期胃癌での発見,診断が研究者の悲願となっていた.胃X線造影検査では二重造影法の開発2)と撮影装置の開発・改良3),内視鏡検査機器の開発4),診断,治療法5)の研究が継続して行われ,病理組織診断学を含めて世界に冠たる胃癌診断治療学6)を構築してきた.
現在,胃癌の年齢調整死亡率は,がん検診による一定の効果とH. pylori(Helicobacter pylori)感染率の低下によって下がってきているものの,今もなお,年間約13万人が罹患し,35%にあたる約4万5千人が死亡している.また,死亡者数の年次推移をみると,減少しているわけではないことがわかる(Fig.2)7).したがって,高度な診断技術をスクリーニング体制に十分に活かしてきっているとは言い難い.その最大の原因は受診率の低さにある.
本邦におけるがん検診の歴史は長いが,正確な対象者数や受診率を把握するデータはなく,国民生活基礎調査(Fig.3)1)のアンケートからでしか定量的な分析ができないと専門家から問題提起されている.今後は,デジタル化の進歩・拡大により,検診だけでなく医療のビッグデータ(レセプトなど)が利活用できるようになれば,受診率,精検受診率,癌発見率などのプロセス指標を正確に把握でき,受診勧奨や精度管理においても効果的な“組織型検診”(Table 1)8)の達成に向けて期待されている.
1950〜1970年代,胃癌は日本の国民病とも言われ,癌の部位別罹患率,死亡率がともに圧倒的第1位(Fig.1)1)であったことから,救命可能な早期胃癌での発見,診断が研究者の悲願となっていた.胃X線造影検査では二重造影法の開発2)と撮影装置の開発・改良3),内視鏡検査機器の開発4),診断,治療法5)の研究が継続して行われ,病理組織診断学を含めて世界に冠たる胃癌診断治療学6)を構築してきた.
現在,胃癌の年齢調整死亡率は,がん検診による一定の効果とH. pylori(Helicobacter pylori)感染率の低下によって下がってきているものの,今もなお,年間約13万人が罹患し,35%にあたる約4万5千人が死亡している.また,死亡者数の年次推移をみると,減少しているわけではないことがわかる(Fig.2)7).したがって,高度な診断技術をスクリーニング体制に十分に活かしてきっているとは言い難い.その最大の原因は受診率の低さにある.
本邦におけるがん検診の歴史は長いが,正確な対象者数や受診率を把握するデータはなく,国民生活基礎調査(Fig.3)1)のアンケートからでしか定量的な分析ができないと専門家から問題提起されている.今後は,デジタル化の進歩・拡大により,検診だけでなく医療のビッグデータ(レセプトなど)が利活用できるようになれば,受診率,精検受診率,癌発見率などのプロセス指標を正確に把握でき,受診勧奨や精度管理においても効果的な“組織型検診”(Table 1)8)の達成に向けて期待されている.
参考文献
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