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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻9号

2022年08月発行

今月の主題 胃癌スクリーニングの課題と将来展望

主題

本邦における胃がん検診精度管理の現状と将来への取り組み

著者: 加藤勝章1 千葉隆士1 只野敏浩1 淺沼清孝1

所属機関: 1公益財団法人宮城県対がん協会がん検診センター

ページ範囲:P.1103 - P.1112

文献概要

要旨●本邦の胃がん検診では,胃X線検査と胃内視鏡検査が自治体による対策型検診や保険者・事業主が任意で提供する職域検診などとして提供されている.しかし,その精度管理の実態を横断的に評価できる体制は整備されていない.近年,胃癌リスク因子であるH. pylori感染率が低下し,除菌治療の普及も相まって,胃がん検診の対象集団に低リスク群が混在するようになった.対象集団の捉え方にパラダイムシフトが起きつつあり,従来型の検診プログラムの非効率性が問題となってきている.今後,個別のリスクに応じた新たな検診提供体制を構築し,PHR(personal health record)などの利活用を進め,個人の検診データをもとに適切な検診を選択できる体制を整備する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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