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文献詳細

雑誌文献

胃と腸57巻9号

2022年08月発行

文献概要

今月の主題 胃癌スクリーニングの課題と将来展望 主題症例

内視鏡的に2年間の経過観察で発見した進行胃癌の1例

著者: 園田隆賀1 入口陽介2 小田丈二2 冨野泰弘2 依光展和2 山村彰彦3 直江秀昭1 具嶋亮介1 宮本英明1 古田陽輝1 松野健司1 山﨑明1 今村美幸1 本田宗倫1 脇幸太郎1 田中靖人1

所属機関: 1熊本大学病院消化器内科 2東京都立病院機構東京都立がん検診センター消化器内科 3東京都立病院機構東京都立がん検診センター検査科

ページ範囲:P.1201 - P.1206

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要旨●患者は60歳代,男性.スクリーニング目的の上部消化管内視鏡検査で胃体中部小彎に40mm大の0-IIa+IIc+I型病変を認めた.精密検査の結果,深達度T1b(SM)と診断し,腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行した.病理組織学的診断では,0-IIa+IIc+I,42×28×6mm,tub1+tub2≫pap>por,pT3(SS),INFb,Ly1c,V1b,pPM1,pDM0(120mm),pN2(5/22)で,リンパ節転移を認める進行癌であった.本症例は2年4か月前に人間ドックで受けた胃X線造影検査で胃体中部小彎のバリウム斑を指摘されたが,精密検査の内視鏡検査では異常所見なしと診断されていた.そのときの内視鏡像を振り返ると,血管透見良好な萎縮粘膜領域に淡い発赤調所見を認めていた.胃体部の観察では,小彎あるいは大彎を中心に観察を行い,前後壁を比較して異常所見を拾い上げることが重要である.

参考文献

1)国立がん研究センターがん予防・検診研究センター.有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年度版.2015
2)日本消化器がん検診学会,胃がん検診精度管理委員会,胃X線検診の読影基準に関する研究会(編).胃X線検診のための読影判定区分アトラス.南江堂,2017
3)原口勝,岡村健,是永大輔,他.高度のリンパ管侵襲のため深達度と浸潤範囲の判定が困難であった胃癌の1例.胃と腸 21:909-913, 1986
4)清水宏,馬場保昌,武本憲重,他.広範なリンパ管侵襲を来したIIc型胃癌の1例.胃と腸 23:1147-1152, 1988
5)肱岡範,平田稔彦,横溝博,他.原発巣が粘膜下層に留まりながら広範な胃壁内癌性リンパ管症を呈した胃癌の1例.日消外会誌 36:1269-1274, 2003
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7)鄭容錫,曽和融生,加藤保之,他.早期胃癌と類似進行胃癌の比較検討—とくに陥凹形成型を中心として.Gastroenterol Endosc 25:520-528, 1983
8)太田惠一朗,西満正,中島聰惠.早期胃癌類似進行癌の検討—進行胃癌類似早期癌と比較して.胃と腸 25:1421-1428, 1990
9)Ono S, Kawada K, Dohi O, et al. Linked color imaging focused on neopalsm detection in the upper gastrointestinal tract:a randomized trial. Ann Intern Med 174:18-24, 2021

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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