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文献概要
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編集後記
著者: 海崎泰治1
所属機関: 1福井県立病院病理診断科
ページ範囲:P.113 - P.113
文献購入ページに移動 H. pylori(Helicobacter pylori)未感染世代の増加とH. pylori除菌療法の普及に伴い,H. pylori感染症は著しく減少した.これに伴い,H. pylori陰性の胃炎が注目を浴びるようになってきた.なかでも,大型のHelicobacter属菌であり,H. heilmannii(H. suisなど)と通称されるNHPH(Non-Helicobacter pylori Helicobacter)の感染は報告が増えてきており,MALTリンパ腫の原因あるいは鳥肌胃炎様の胃炎を呈することなどが明らかになっている.そこで本号では,NHPH胃炎に焦点を当て,疫学から臨床病理学的特徴,治療法,鑑別すべき疾患などの全貌を明らかにするとともに,NHPHに関連する周辺疾患についてもまとめることを目標とした.
NHPHについての知識が,“H. pyloriよりも長い螺旋菌で感染により胃の粘膜に軽度の炎症しか及ぼさない”程度である病理医(筆者)が企画を担当しているので,まず,NHPHとは何かを押さえておきたい.序説の春間論文によれば“1980年代後半からヒトの胃に生息するH. pylori以外の,Gram染色陽性の大型の螺旋菌が発見され,当初はGastrospirillum hominisと命名され,その後遺伝子解析の結果,H. heilmanniiに再分類され,さらに,H. heilmanniiはブタを自然宿主とするH. suisを代表とするType 1と,イヌとネコの胃に生息するH. felisなどのType 2に分類されている”とのことである.また,春間論文からは今回の特集の目標として,H. pylori感染にはヒトに対し功罪併せ持つ側面があるように,NHPH感染にも功と罪の両者が存在する可能性があり,病的意義を考えたうえでの付き合い方を探究するという宿題をいただいた.
NHPHについての知識が,“H. pyloriよりも長い螺旋菌で感染により胃の粘膜に軽度の炎症しか及ぼさない”程度である病理医(筆者)が企画を担当しているので,まず,NHPHとは何かを押さえておきたい.序説の春間論文によれば“1980年代後半からヒトの胃に生息するH. pylori以外の,Gram染色陽性の大型の螺旋菌が発見され,当初はGastrospirillum hominisと命名され,その後遺伝子解析の結果,H. heilmanniiに再分類され,さらに,H. heilmanniiはブタを自然宿主とするH. suisを代表とするType 1と,イヌとネコの胃に生息するH. felisなどのType 2に分類されている”とのことである.また,春間論文からは今回の特集の目標として,H. pylori感染にはヒトに対し功罪併せ持つ側面があるように,NHPH感染にも功と罪の両者が存在する可能性があり,病的意義を考えたうえでの付き合い方を探究するという宿題をいただいた.
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