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雑誌目次

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胃と腸58巻10号

2023年10月発行

雑誌目次

増大号 「胃と腸」式 読影問題集2023 応用と発展—考える画像診断が身につく

序説

著者: 松本主之

ページ範囲:P.1207 - P.1207

 読者の皆さまもご存じのように,2023年度より,「胃と腸」誌は年2回の増大号を発行することになった.これは,消化管疾患の診断と治療が極めて多岐にわたり,初学者のみならず経験を有する専門医にも最新の知識を系統的に提供することが重要と考えたからである.この発行形態変更に基づいて,本年2本目の増大号として「『胃と腸』式読影問題集」第2弾を皆さまにお届けしたい.前増大号「『胃と腸』式読影問題集2023 基本と応用」に引き続き,執筆者と編集部が力を込めた増大号となったことを確信している.
 実は,当初の企画では前増大号を「基本編」とし,今回の増大号を「応用編」に位置付ける予定となっていた.ところが,先行の増大号で既に高い読影力を必要とする良質な問題が多数含まれていたため,本増大号ではさらにレベルの高い症例を集めて解説いただいたつもりである.すなわち,前号は読影の基本と応用力を養うための増大号であったに対し,本号は読影に加えて疾患自体に関する知識を深める増大号と理解していただければ幸いである.

咽頭・食道 9 Cases

Case 1

著者: 藤原純子 ,   三浦修 ,   木下伊寿美 ,   中坪幸子 ,   門馬久美子

ページ範囲:P.1208 - P.1212

臨床情報 
70歳代前半,男性.主訴:特になし.既往歴:十二指腸潰瘍,急性肝炎,胆囊炎.嗜好歴:飲酒 焼酎2合/day×40年,喫煙15本/day×40年.20XX年に内視鏡検診にて,下咽頭に異常を指摘された.

Case 2

著者: 竹内学 ,   加藤卓 ,   味岡洋一

ページ範囲:P.1214 - P.1217

臨床情報 
70歳代後半,男性.既往歴:70歳代に膀胱癌で膀胱全摘術施行.嗜好歴:飲酒歴はなく,喫煙歴は5年間15本/day.現病歴:鉄欠乏性貧血にて当院紹介となり,上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)にて進行胃癌と同時に食道に異常を指摘された(Fig.1).

Case 3

著者: 菊池大輔 ,   鈴木悠悟 ,   河野圭 ,   髙澤豊 ,   布袋屋修

ページ範囲:P.1218 - P.1221

臨床情報 
70歳代,男性.主訴:胸部の違和感.既往歴:糖尿病.現病歴:胸部の違和感を自覚し内視鏡検査を施行された.切歯より33〜36cmに,食道右側後壁に陥凹性病変が認められた.生検にてSCC(squamous cell carcinoma)が検出されたため,紹介され受診となった.

Case 4

著者: 平澤大 ,   赤平純一 ,   藤島史喜 ,   松田知己

ページ範囲:P.1222 - P.1225

臨床情報 
60歳代,男性.健診の上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)で切歯から30cmの胸部中部食道に隆起性病変を認めたため,当科に紹介され,受診となった.来院時のEGDおよび超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS)像をFig.1に示す.2週間後のEGD像をFig.2に示す.なお,来院の4か月前に生検を1個施行している.

Case 5

著者: 北村陽子 ,   岡本直樹 ,   岸埜高明 ,   奥田隆史 ,   島田啓司

ページ範囲:P.1226 - P.1229

臨床情報 
80歳代,男性.主訴:咽頭痛,食事が喉にひっかかる.既往歴:胆囊摘出術.生活歴:飲酒:1合/day,flusher,喫煙:20本×20年間(40年前から禁煙).現病歴:1週間前より咽頭痛・食事が喉にひっかかる感じがするとのことで耳鼻科を受診したが異常を認めず,当院消化器内科を受診した.検査所見:WBC 5,870/mm3,Hb 12.9g/dL,Ht 39.6%,Plt 13.1×104/mm3,CRP 1.11mg/dL,CEA 6.7ng/mL,SCC(squamous cell carcinoma)1.5ng/mL.臨床経過:精査のため上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)(鎮静なし)を行った(Fig.1,2).

Case 6

著者: 小田丈二 ,   入口陽介 ,   依光展和 ,   細井董三 ,   山村彰彦

ページ範囲:P.1230 - P.1233

臨床情報 
70歳代,男性.20XX年,特に自覚症状なく検診目的で胃内視鏡検査を施行したところ,食道に異常を指摘された.

Case 7

著者: 小野陽一郎 ,   八尾建史 ,   二村聡

ページ範囲:P.1234 - P.1237

臨床情報 
60歳代,男性.主訴:自覚症状なし.既往歴:前医でX−2年に食道癌(切歯より32〜34cmに存在する0-III型,生検病理診断は中分化扁平上皮癌,cT1bN3M0,cStage III)に対して根治的化学放射線療法(chemoradiotherapy ; CRT)を施行され,治療後に完全奏効と効果判定された.現病歴:サーベイランス目的で受けた前医の上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)で,食道(切歯より33cm)に隆起性病変を認め,精査加療目的に当科へ紹介され受診した.生活歴:飲酒はビール700mL+ウイスキー4杯/day.フラッシング反応(+),喫煙歴あり(60本×約15年間,現在は禁煙).検査:CEA 3.2ng/mL,SCC 0.9ng/mL.臨床経過:前医検査から約3週間後に当院初回EGD(Fig.1〜3),超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS,Fig.4),X線造影検査(Fig.5)を施行した.

Case 8

著者: 吉井俊輔 ,   石原立 ,   本間圭一郎

ページ範囲:P.1238 - P.1241

臨床情報 
50歳代,男性.主訴:なし.現病歴:検診目的に施行した上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)にて食道に隆起性病変を指摘され,精査目的に当科へ紹介され受診となった.既往歴:高血圧症.内服薬:アムロジピン,カンデサルタン.嗜好歴:飲酒5合/day,flushing反応なし,喫煙歴20本/day.

Case 9

著者: 川田研郎 ,   大友真由子 ,   藤原尚志 ,   春木茂男 ,   伊藤崇

ページ範囲:P.1242 - P.1245

臨床情報 
50歳代,女性.主訴:吐血,黒色便.既往歴:知的能力障害あり,高血圧症.現病歴:20XX年Y月Z日午後4時頃に黒色便あり.翌日午前4時に上腹部痛,黒色便あり.午前5時に吐血,救急要請し当院救急外来に搬送された.Hb 6.8g/dLと低下,出血性ショックのために輸血2単位を施行し,上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)を行った.臨床経過:①止血処置直後のEGD(Fig.1),②2日後のセカンドルックのEGD(Fig.2),③1週間後のEGD(Fig.3),④1か月後のEGD(Fig.4).

胃 16 Cases

Case 1

著者: 小澤俊文 ,   原一夫

ページ範囲:P.1246 - P.1250

臨床情報 
70歳代,男性.主訴:咽頭部不快感,口臭.既往歴:18年前に交通外傷のため脾摘,肋骨骨折,脂質異常症.現病歴:20XX年5月に主訴のため3か月来に近医を受診し,内視鏡検査目的に当院へ紹介され受診となった.検査:UBT 14.0‰,抗Hp-IgG抗体40.0U/mL.臨床経過:20XX年5月に上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD),20XX年6月に上部消化管超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS),上腹部CT(単純/造影)を施行した.

Case 2

著者: 山崎健路 ,   九嶋亮治

ページ範囲:P.1251 - P.1253

臨床情報 
70歳代,女性.主訴:胸やけ.既往歴:強皮症,間質性肺炎,高血圧.現病歴:前記にて当院に通院中,軽度の胸やけ症状のため約1か月前よりボノプラザン(vonoprazan ; VPZ)10mg/dayを服用していた.精査のため当科へ紹介され受診となり,上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)を施行した(Fig.1).内服薬:VPZ,プレドニゾロン,ミコフェノール酸モフェチル,アムロジピン,テルミサルタン,トリクロルメチアジド.検査:血清H. pylori(Helicobacter pylori)抗体陰性.H. pylori除菌歴なし.

Case 3

著者: 上山浩也 ,   八尾隆史 ,   永原章仁

ページ範囲:P.1254 - P.1257

臨床情報 
50歳代,女性.検診の上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)にて胃穹窿部に病変を指摘され,精査加療目的に当院へ紹介され受診となった.H. pylori(Helicobacter pylori)関連項目:血清HP-IgG 3U/mL,UBT(尿素呼気試験) 0.5‰未満.既往歴:乳腺症,左大腿骨骨折(人工股関節置換術後).当院での精査内視鏡像(Fig.1:背景粘膜,Fig.2:病変)を提示する.

Case 4

著者: 吉永繁高 ,   鈴木晴久 ,   関根茂樹 ,   斎藤豊

ページ範囲:P.1258 - P.1262

臨床情報 
60歳代,男性.主訴はなし.既往に高血圧症,脂質代謝異常,糖尿病,脳梗塞,膀胱癌(経尿道的手術+化学療法)がある.多くの内服薬があり,抗血小板薬はクロピドグレル,アスピリン,イコサペント酸エチルの3剤を内服していた.20XX年に心筋梗塞に対する冠動脈バイパス術前の精査にて胃病変を指摘され,術後に当院へ紹介され受診となった.当科で上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD),超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS)および腹部CTが施行された.

Case 5

著者: 青柳裕之 ,   海崎泰治 ,   宇賀治良平 ,   内藤慶英 ,   波佐谷兼慶

ページ範囲:P.1264 - P.1267

臨床情報 
40歳代後半,女性.主訴:特になし.既往歴:子宮筋腫核出術後.現病歴:検診目的の上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)を施行し病変を指摘した.入院時身体所見:身長161cm,体重59.9kg.表在リンパ節腫脹なし.腹部は平坦・軟で圧痛なく,腫瘤を蝕知せず. 院時検査所見:血清抗H. pylori(Helicobacter pylori)抗体は4U/mL,H. pylori培養検査陰性.内服歴:なし.

Case 6

著者: 芦澤浩 ,   吉田将雄 ,   下田忠和 ,   小野裕之

ページ範囲:P.1268 - P.1271

臨床情報 
70歳代,女性.20XX年に胃癌リスク検診でD群と判定され,それ以降,定期的な上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)が行われていた.20XX+6年に胃体中部前壁に病変を指摘され,精査加療のため当科を紹介され受診となった.H. pylori(Helicobacter pylori)除菌歴はなく,抗H. pylori-IgG抗体は陰性,腫瘍マーカー(CEA,CA19-9)は正常範囲内であった.

Case 7

著者: 金坂卓 ,   上堂文也 ,   北川昌紀

ページ範囲:P.1272 - P.1275

臨床情報 
60歳代,男性.主訴:なし.既往歴:6年前にH. pylori(Helicobacter pylori)胃炎に対する除菌治療を受けた.現病歴:検診目的の上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)で胃体中部大彎に限局した壁肥厚を指摘された.同部からの生検病理組織学的診断はGroup 1であった.精査加療目的に当院へ紹介され受診した.臨床経過:EGD,上部消化管超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS).

Case 8

著者: 山本浩之 ,   平澤俊明 ,   高松学

ページ範囲:P.1276 - P.1279

臨床情報 
50歳代,女性.主訴:なし.既往歴:左乳癌術後(4年前),てんかん.現病歴:他院での上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)にて,胃内に2つの病変を指摘されたため,当院へ紹介され受診となった.H. pylori(Helicobacter pylori)除菌歴:なし.内服歴:アベマシクリブ,バルプロ酸ナトリウム.検査:抗H. pylori IgG抗体3.4U/mL.

Case 9

著者: 丸山保彦 ,   神谷欣志 ,   安田和世

ページ範囲:P.1280 - P.1283

臨床情報 
70歳代,女性.主訴:心窩部痛.現病歴:20XX−8年に近医にて胃角部前壁のMALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫に対して除菌後,逐年上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)を施行していた.20XX年4月より心窩部痛があり,5月に胃穹窿部に異常を指摘され,当科に紹介された.
既往歴:大腸憩室炎.検査:CEA 1.7ng/mL,CA19-9 3.3U/mL,s-IL2R 244U/mL.臨床経過:20XX年6月にEGD,胃X線造影検査,造影CT検査を,7月にEGD(再検)を施行した.

Case 10

著者: 吉田尚弘 ,   片柳和義 ,   湊宏 ,   土山寿志

ページ範囲:P.1284 - P.1287

臨床情報 
70歳代,女性.主訴:体重減少.既往歴:特記事項なし.H. pylori(Helicobacter pylori)除菌歴なし.現病歴:体重減少の原因精査目的で上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)を行ったところ異常所見を認めたため,精査目的に当科へ紹介され受診となった.検査:抗H. pylori-IgG抗体29.0U/mL.

Case 11

著者: 名和田義高 ,   市原真 ,   濱本英剛 ,   赤平純一 ,   松田知己

ページ範囲:P.1288 - P.1291

臨床情報 
60歳代,男性.主訴:なし.既往歴:心房細動,逆流性食道炎.内服薬:ダビガトラン,ランソプラゾール.現病歴:前医でのスクリーニングの上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)で,多発胃底腺ポリープと胃角部大彎に5mm大の頂部に陥凹を伴う隆起性病変を指摘された.生検でGroup 2(組織量が不十分で腫瘍性病変としての判断が困難)の診断となり,精査加療目的に当院へ紹介された.H. pylori(Helicobacter pylori)除菌歴はない.検査:H. pylori便中抗原陰性,抗H. pylori血中抗体4U/mL.

Case 12

著者: 外山雄三 ,   長浜隆司 ,   堀口慎一郎

ページ範囲:P.1292 - P.1295

臨床情報 
70歳代,女性.他院の検診にて上部内視鏡を施行しその際に隆起性病変を認め,精査目的のために当院へ紹介され受診となった.当院での上部内視鏡像をFig.1〜5に示す.既往歴:高血圧,逆流性食道炎,骨粗鬆症.手術歴:甲状腺部分切除,胆囊摘出後.常用薬:ボノプラザンフマル酸塩20mg,シルニジピン5mg,アレンドロン酸ナトリウム35mg,エルデカルシトール0.75μg.

Case 13

著者: 高橋佑典 ,   柴垣広太郎 ,   荒木亜寿香

ページ範囲:P.1296 - P.1299

臨床情報 
40歳代,男性.主訴:胃病変精査.既往歴:H. pylori(Helicobacter pylori)除菌後.左腎癌摘出術後.現病歴:検診の上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)で胃病変を指摘されたため,当院へ紹介され受診となった.

Case 14

著者: 鳥谷洋右 ,   永塚真 ,   菅井有 ,   松本主之

ページ範囲:P.1300 - P.1303

臨床情報 
40歳代,男性.主訴:胃検診精査.既往歴:3歳時に右網膜芽細胞腫,5歳時に左網膜芽細胞腫を外科的切除.臨床経過:胃検診で要精査となり前医を受診した.上部内視鏡検査で異常を指摘され経過観察となった.1年後の内視鏡検査で病変に形態変化を認めたため精査目的に当科へ紹介され受診となった.

Case 15

著者: 芳澤社 ,   木全政晴 ,   海野修平 ,   細田佳佐 ,   大月寛郎

ページ範囲:P.1304 - P.1307

臨床情報 
50歳代,男性.主訴:特になし(検診発見).既往歴:12年前にH. pylori(Helicobacter pylori)除菌.現病歴:20XX−3年に検診の上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)で胃体部大彎に粘膜下腫瘍(submucosal tumor ; SMT)様隆起を指摘されていた.その後も年1回のEGDを継続していたが,20XX年のEGDで隆起がやや増大し,当院紹介となる.臨床経過:20XX年に当院にてEGD,超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS),造影CTを施行した.

Case 16

著者: 梅垣英次

ページ範囲:P.1308 - P.1311

臨床情報 
80歳代,女性.主訴:なし.既往歴:68歳時より糖尿病.現病歴:糖尿病で近医に通院加療中であったが,検診目的で施行された上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)で異常を指摘され,当院に紹介となった.検査:空腹時血糖127mg/dL,HbA1c 6.6%,血中抗Hp-IgG抗体25.0U/mL,CEA 5.1ng/mL.臨床経過:200X年7月にEGD(Fig.1,2),超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS,Fig.3).200X年8月に胃病変に対する内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD).

十二指腸 6 Cases

Case 1

著者: 森山智彦 ,   川床慎一郎 ,   谷口義章 ,   立石悠基 ,   鳥巣剛弘

ページ範囲:P.1312 - P.1315

臨床情報 
80歳代,女性.主訴:全身倦怠感と動悸.家族歴:特記事項なし.既往歴:高血圧症と脂質異常症,慢性腎不全あり.現病歴:施設に入所中であったが動悸と倦怠感を自覚したため当院を受診し,採血でHb 6.7g/dL,血清鉄28μg/dLと鉄欠乏性貧血を認めたため鉄剤の内服を開始したが改善に乏しかった.消化管出血の可能性を疑われて施行された上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)で,十二指腸球部に病変を指摘された.

Case 2

著者: 池上幸治 ,   蔵原晃一 ,   大城由美 ,   江頭信二郎 ,   佐々木淳子

ページ範囲:P.1316 - P.1319

臨床情報 
50歳代,男性.主訴:なし(検診異常).既往歴:特記事項なし.現病歴:202X年に近医で検診目的に施行された上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)で十二指腸に異常を指摘された.同部からの生検では非特異的炎症所見という結果であったが,精査目的に当科へ紹介され受診となり,造影X線検査(Fig.1),EGD(Fig.2a〜f),超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS,Fig.2g)を施行した.検査:白血球数4,980/μL,Hb 15.4g/dL,H. pylori(Helicobacter pylori)血清IgG抗体0.6U/mL,CEA<0.5ng/mL,CA19-9 6.9ng/mL,sIL2-R 354U/mL.

Case 3

著者: 沖元謙一郎 ,   松村倫明 ,   松坂恵介 ,   加藤順 ,   加藤直也

ページ範囲:P.1320 - P.1323

臨床情報 
70歳代,男性.主訴:特になし.現病歴:前医にてH. pylori(Helicobacter pylori)除菌後のフォローにて施行した上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)にて十二指腸に病変を認め,20XX年2月に当院へ紹介され受診となった.既往歴:高血圧,脂質異常症,糖尿病.臨床経過:20XX年3月と9月にEGDを施行した.

Case 4

著者: 佐野村洋次 ,   服部結 ,   西阪隆

ページ範囲:P.1324 - P.1327

臨床情報 
60歳代,女性.主訴:特になし.既往歴:H. pylori(Helicobacter pylori)除菌後.現病歴:検診目的の上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)にて十二指腸球部に腫瘤を認め,202X年9月に当科へ紹介され受診となった.臨床経過・臨床画像:202X年9月にEGD(Fig.1),202X年10月に超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS,Fig.2),202X+1年2月に造影CT(Fig.3)を施行.

Case 5

著者: 郷田憲一 ,   阿部圭一朗 ,   石田和之 ,   長崎秀彰 ,   入澤篤志

ページ範囲:P.1328 - P.1332

臨床情報 
40歳代,男性.主訴:特に症状なし.既往歴:20XX年より糖尿病(内服加療中).現病歴:糖尿病で通院中であった前医にて,健診目的で生来初めての上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)を受けた際,十二指腸に隆起性病変を指摘された.精査・加療目的に当科へ紹介され,受診した.検査:赤血球430万/μL,Hb 13.5g/dL,白血球9,900/μL,血小板22.8万/μL.AST 15U/L,ALT 20U/L,γ-GTP 22U/L(基準値8〜50),HbA1c 9.0%(基準値4.6〜6.2),CEA 4.7ng/mL(基準値5以下),CA19-9 15U/mL(基準値37以下).臨床経過:20XX年8月にEGD〔NBI(narrow band imaging)拡大観察および超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS)〕を行った.胸腹部造影CTにおいて転移を疑う所見はなかった.

Case 6

著者: 増永哲平 ,   中山敦史 ,   加藤元彦 ,   九嶋亮治 ,   矢作直久

ページ範囲:P.1334 - P.1337

臨床情報 
[症例1] 60歳代後半,男性.スクリーニングの上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)で十二指腸に病変を指摘され,精査加療目的に当部門に紹介され受診となった.
[症例2] 60歳代前半,男性.スクリーニングのEGDで十二指腸に病変を指摘され,精査加療目的に当部門に紹介され受診となった.

小腸 8 Cases

Case 1

著者: 大宮直木 ,   稲熊岳 ,   塚本徹哉

ページ範囲:P.1338 - P.1341

臨床情報 
60歳代,男性.主訴:暗赤色便,腹痛・鮮血便.既往歴・既存症:大腸憩室出血,一過性脳虚血発作,早期胃癌(腹腔鏡下幽門側胃切除後),前立腺癌(ロボット支援前立腺全摘術後),右鼠径ヘルニア(メッシュ修復術後),脂質異常症,花粉症.現病歴:20XX年1月に暗赤色便で緊急入院.採血でHb 11.7g/dLの軽度な貧血を指摘された.腹部造影CTで骨盤部正中の小腸に造影される壁肥厚部位を認めたものの,その後血便は消失した.アスピリンとシロスタゾールを内服中であったが,以後はアスピリンのみ内服.入院時に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)陽性であったため,さらなる精査はせずに退院となった.退院後に施行した小腸カプセル内視鏡所見は異常なし.20XX年9月に腹痛,鮮血便にて緊急再入院した.採血でHb 13.3g/dLの軽度な貧血を指摘され,腹部造影CT,小腸X線造影検査,経肛門的ダブルバルーン小腸内視鏡(double-balloon enteroscopy ; DBE)を施行した.

Case 2

著者: 渡辺憲治 ,   高嶋祐介

ページ範囲:P.1342 - P.1345

臨床情報 
40歳代,男性.主訴:腹痛,腹部膨満感.既往歴:HBV(hepatitis B virus)キャリア,8年前に痔瘻.現病歴:X年に穿孔性腹膜炎で緊急手術となり,その際の術中所見,切除標本病理組織学的所見からCrohn病と診断された.術後,成分栄養剤や5-アミノサリチル酸製剤,アザチオプリンなどで加療されていた.X+2年,小腸X線造影検査を施行し,2か所の狭窄性病変を認め,経口的および経肛門的ダブルバルーン小腸内視鏡(double balloon enteroscopy ; DBE)検査を施行し,内視鏡的バルーン拡張術を行った(Fig.1,2).内視鏡的バルーン拡張術は径15mmに拡張し,手技的には成功したが,狭窄症状は改善しなかった.

Case 3

著者: 下田良 ,   芥川剛至 ,   武富啓展 ,   青木茂久 ,   江﨑幹宏

ページ範囲:P.1346 - P.1349

臨床情報 
60歳代,女性.主訴:黒色便,貧血.既往歴:22歳時に虫垂炎,高血圧,末期腎不全.現病歴:202X年3月頃より下腹部痛および黒色便が出現.かかりつけ医にて上・下部消化管内視鏡検査を施行されたが異常なし.一時黒色便は消失したが同年4月より再度黒色便が出現し,貧血の進行を認めたため当院へ紹介され受診となった.検査:202X年4月にRBC 335万/μL,Hb 10.5g/dL.臨床経過:202X年4月に小腸カプセル内視鏡検査(Fig.1),ダブルバルーン小腸内視鏡検査(double balloon enteroscopy ; DBE,Fig.2),小腸X線造影検査(Fig.3).

Case 4

著者: 福本晃 ,   永田信二 ,   青山大輝 ,   金子真弓

ページ範囲:P.1350 - P.1353

臨床情報 
70歳代,女性.主訴:貧血.既往歴:20XX−5年に子宮頸癌に対して放射線化学療法,20XX−2年に左肺転移再発に対して手術.現病歴:近医で軽度の貧血を指摘され,20XX年10月に,当科へ紹介され受診した.同月に上下部消化管内視鏡検査を施行され,明らかな出血源を認めなかった.11月に小腸精査目的にて,再度,当科へ紹介され受診となった.血液検査:WBC 4,170/μL,RBC 427×104/μL,Hb 11.0g/dL,Ht 35.3%,Fe 31μg/dL,TIBC 362μg/dL,UIBC 331μg/dL,フェリチン56ng/mL.臨床経過:20XX年12月に経肛門的ダブルバルーン小腸内視鏡検査(double-balloon enteroscopy ; DBE)および内視鏡下ガストログラフィン®造影を施行した.

Case 5

著者: 山村健史 ,   中村正直 ,   澤田つな騎 ,   川嶋啓揮

ページ範囲:P.1354 - P.1357

臨床情報 
50歳代,男性.主訴:食思不振,嘔吐.既往歴:虫垂炎で虫垂切除後,内服はなし.X年に食思不振,嘔吐,体重減少が出現し近医を受診した.腹部CTで小腸の壁肥厚と腸液貯留を認め,精査目的に当院へ紹介され受診となった.当科で経口的および経肛門的ダブルバルーン小腸内視鏡(double-balloon enteroscopy ; DBE)検査を施行した.

Case 6

著者: 鈴木隆太 ,   松田知己 ,   赤平純一

ページ範囲:P.1358 - P.1361

臨床情報 
20歳代,男性.主訴:下血.既往歴:特記所見なし.服薬歴:なし.20XX年◯月△日に,3日間続く下血で近医に救急搬送された.搬送時ショック状態であり,腹部造影CTでもextravasationは認めず,緊急上部・下部消化管内視鏡検査を施行されたが,出血源の同定には至らなかった.△+2日に再度大量の鮮血便を認めショック状態となり,緊急下部消化管内視鏡検査を施行されたが出血源の同定には至らず,同日に当院へ紹介され受診となった.△+3日,経肛門的小腸内視鏡検査を行ったが凝血塊を認めるのみであり,赤血球輸血を合計18単位投与されるもショック状態を2回呈している経過から,経口的ダブルバルーン小腸内視鏡検査(double balloon enteroscopy ; DBE,Fig.1)および超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS,Fig.2)を同日に続けて行った.

Case 7

著者: 大塚和朗 ,   山本くらら

ページ範囲:P.1362 - P.1365

臨床情報 
60歳代,男性.主訴:検診で便潜血陽性.既往歴:特になし,内服薬なし.現病歴:201X年8月下旬より脱毛,味覚異常,下痢が出現し,同年9月に上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)を施行したが胃炎を認めるのみであった.その後,便潜血陽性を指摘され,同年10月大腸内視鏡を施行したところ多発ポリープが認められたため,当科へ紹介され受診となった.検査:Hb 13.0g/dL,TP 4.9g/dL,Alb 2.9g/dL,CRP 0.28mg/dL.臨床経過:201X年11月に経口小腸内視鏡検査(Fig.1),経肛門小腸内視鏡検査(Fig.2)を施行.

Case 8

著者: 馬場重樹 ,   髙橋憲一郎 ,   西田淳史 ,   九嶋亮治 ,   安藤朗

ページ範囲:P.1366 - P.1369

臨床情報 
50歳代,男性.主訴:CA19-9高値.既往歴:特記事項なし.現病歴:検診の血液検査でCA19-9高値を指摘された.上・下部消化管内視鏡検査では異常なし.PET-CT(positron emission tomography with computed tomography)を保険診療外で実施され腸間膜に集積を認めたため,紹介され受診となった(Fig.1).検査:CA19-9 559U/mL(異常値),CEA 2.2ng/mL,DUPAN-2 25U/mL以下,可溶性IL-2受容体262U/mL.臨床経過:カプセル小腸内視鏡検査(Fig.2),経口シングルバルーン小腸内視鏡検査(Fig.3)を施行した.

大腸 14 Cases

Case 1

著者: 清水誠治 ,   富岡秀夫 ,   石破博 ,   坂井利規 ,   眞嵜武

ページ範囲:P.1370 - P.1373

臨床情報 
60歳代,女性.主訴:下腹部痛,腹部膨満.既往歴:特記事項なし.現病歴:約1年前から食後の下腹部痛と下痢がみられていたが,最近腹部膨満もみられるようになった.当院での腹部造影CT,大腸内視鏡,X線造影をFig.1〜3に示す.身体診察所見:身長162cm,体重59kg,腹部は平坦で圧痛や腫瘤触知はなし.臨床検査成績:WBC 5,900/μL,Hb 11.8g/dL,MCV 83.9fL,Alb 3.7g/dL,CRP 0.28mg/dL,CEA 0.8ng/mL,CA19-9 4.0U/mL.

Case 2

著者: 吉井新二 ,   藤田昌宏

ページ範囲:P.1374 - P.1377

臨床情報 
70歳代,女性.主訴:特記事項なし.既往歴:子宮筋腫,虚血性心疾患.家族歴:特記事項なし.原病歴:近医でスクリーニング目的の大腸内視鏡検査にて下部直腸(Rb)に0-IIa+IIc型病変を認めたため,当院へ紹介され受診となった.紹介元で8週前に生検が行われていた.

Case 3

著者: 山下賢 ,   竹原悠大 ,   田中秀典 ,   嶋本文雄 ,   岡志郎

ページ範囲:P.1378 - P.1381

臨床情報 
60歳代,男性.主訴:腹部膨満感.既往歴:気管支喘息.原病歴:腹部膨満を主訴に近医を受診し,大腸内視鏡検査を施行したところ下部直腸(Rb)に病変を指摘され,精査加療目的に当科へ紹介され受診となった.検査:Hb 14.3g/dL,CEA 7.1ng/mL,CA19-9 4.0U/mL.臨床経過:大腸内視鏡検査,注腸X線造影検査,超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS)を施行した.

Case 4

著者: 𥔎山直邦 ,   佐野村誠 ,   植田初江 ,   廣瀬善信 ,   西川浩樹

ページ範囲:P.1382 - P.1385

臨床情報 
40歳代,女性.既往歴,家族歴:特記事項なし.検診で便潜血陽性を指摘されたため大腸内視鏡検査を施行したところ,直腸S状部(RS)に病変を認めた.

Case 5

著者: 河野弘志 ,   鶴田修 ,   檜垣浩一

ページ範囲:P.1386 - P.1389

臨床情報 
60歳代,男性.主訴:なし.既往歴:高血圧症.現病歴:20XX年4月に,近医においてスクリーニング目的に大腸内視鏡検査を施行され,S状結腸に長径10mm大の隆起性病変を指摘されたため,当院へ紹介され受診となった.血液生化学検査:CEA 3.8ng/mL,CA19-9 11.0U/mL.臨床経過:20XX年5月に下部消化管内視鏡検査.

Case 6

著者: 山崎晃汰 ,   松下弘雄 ,   吉川健二郎 ,   加藤文一朗 ,   萬春花

ページ範囲:P.1390 - P.1393

臨床情報 
60歳代,男性.主訴:排便時出血.既往歴:高血圧,糖尿病.現病歴:X−1年の大腸内視鏡検査で虫垂開口部近傍に病変を指摘され(Fig.1),経過観察の方針となっていた.X年に排便時出血を認め,大腸内視鏡検査を施行した(Fig.2〜4).検査:WBC 6,700/μL,RBC 445万/μL,Hb 14.9g/dL,Ht 45.5%,MCV 102.1fL,Plt 29.4万/μL,CRP 0.05mg/dL,CEA 2.6ng/mL,CA19-9 16.9U/mL.

Case 7

著者: 梅野淳嗣 ,   川崎啓祐 ,   谷口義章

ページ範囲:P.1394 - P.1397

臨床情報 
50歳代,女性.主訴:便潜血陽性.既往歴:左卵巣腫瘍(再発時にS状結腸切除),子宮体癌.現病歴:健康診断で便潜血陽性を指摘されたため,当科へ紹介され受診となった.大腸内視鏡検査を施行したところ,横行結腸に病変を認めた.

Case 8

著者: 川上裕史 ,   竹内洋司 ,   北村昌紀

ページ範囲:P.1398 - P.1401

臨床情報 
50歳代,女性.主訴:血便.既往歴:甲状腺機能亢進症.現病歴:血便を契機に近医を受診し,下部消化管内視鏡検査で直腸に隆起性病変を指摘された.精査加療目的に当院へ紹介され受診した.検査:CEA 0.8ng/mL, CA19-9 3U/mL,その他,血液学的検査で貧血などの異常所見は認めなかった.臨床経過:当院で下部消化管内視鏡検査を施行した.

Case 9

著者: 川端悠里衣 ,   工藤進英 ,   小原淳 ,   根本哲生 ,   三澤将史

ページ範囲:P.1402 - P.1405

臨床情報 
70歳代,男性.20XX年に当センターで大腸癌(Tis)の内視鏡治療を行った.20XX+1年にサーベイランス目的で大腸内視鏡検査を施行したところ,横行結腸に病変を認めた(Fig.1〜3).既往歴:35歳時に肺結核,70歳時に緑内障,肺アスペルギルス症,特発性肺線維症.血算:WBC 4,380/μL,RBC 380×104/μL,Hb 12.1g/dL,Ht 37.7%,Plt 24.9×104/μL.生化学:TP 7.7g/dL,Alb 3.9g/dL,T-bil 0.3mg/dL,AST 16 IU/L. ALT 11 IU/L,ALP 72 IU/L,LDH 139 IU/L,BUN 19.4mg/dL,Cre 0.97mg/dL,CRP 0.24mg/dL,Na 139mEq/L,K 4.1mEq/L,Cl 108mEq/L.

Case 10

著者: 依光展和 ,   入口陽介 ,   山村彰彦

ページ範囲:P.1406 - P.1409

臨床情報 
80歳代,女性.主訴:空腹時の心窩部痛.既往歴:特になし.内服薬:アムロジピン.現病歴:半年前に黒色便あり,空腹時の心窩部痛が出現したため,当センターを受診した.上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)にて胃潰瘍および十二指腸潰瘍を指摘され,プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor ; PPI)が処方された.下部消化管内視鏡検査が追加され,S状結腸に病変が指摘された.

Case 11

著者: 園田隆賀 ,   田山紗代子 ,   宮本英明

ページ範囲:P.1410 - P.1413

臨床情報 
70歳代,女性.左鼻腔悪性黒色腫の再発にて,イピリムマブ+ニボルマブ2コース投与後に,下痢(5〜6行/day),腹痛が出現し,2週間持続するため,当科にコンサルトとなった.腹部全体に圧痛を認め,腹部単純CT,全大腸内視鏡検査(前処置はグリセリン浣腸のみ)を施行した.

Case 12

著者: 渡邊昌人 ,   斎藤彰一 ,   河内洋

ページ範囲:P.1414 - P.1417

臨床情報 
70歳代,女性.主訴:便潜血陽性.既往歴:早期胃癌内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD)後,卵巣癌術後.現病歴:便潜血陽性を契機に施行された大腸内視鏡検査でS状結腸に病変を指摘されたため,精査加療目的に当科へ紹介され受診となった.血液検査:異常所見なし.臨床経過:20XX−1年12月に大腸内視鏡検査,20XX年1月に超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS).

Case 13

著者: 吉田直久 ,   稲田裕 ,   森本泰隆 ,   村上貴彬 ,   森永友紀子

ページ範囲:P.1418 - P.1421

臨床情報 
60歳代,女性.主訴:便潜血陽性.既往歴:特記すべき事項なし.現病歴:前医にて便潜血陽性に対して下部消化管内視鏡検査を施行し直腸に病変を認め加療目的に当院紹介受診となった.当院での大腸内視鏡像をFig.1〜3に示す.

Case 14

著者: 松田圭二 ,   菊地良直

ページ範囲:P.1422 - P.1425

臨床情報 
60歳代,男性.主訴:腹痛.既往歴:うつ病,前立腺肥大,くも膜下出血.現病歴:20XX年に腹痛を主訴に前医に入院した.便培養は陰性.絶食,抗菌薬治療を行うが軽快しなかった.入院中の腹部単純X線像(Fig.1)と注腸X線造影像(Fig.2)を示す.ロングチューブを挿入するが軽快せず,入院57日目に当院へ搬送となった.搬送時検査:白血球数 14,900/μL,ヘモグロビン8.6g/dL,血小板数25.4万/μL,CRP 16.23mg/dL,CEA 1.9ng/mL,CA19-9 10.6U/mL.臨床経過:転院日に骨盤造影CT検査を行い(Fig.3),同日に緊急手術となった.S状結腸を中心に腸管,腸間膜,脂肪垂が非常に硬く,横行結腸人工肛門造設術を施行した(Fig.4).プレドニゾロン(prednisolone ; PSL)60mg/dayを開始し,手術14日後に血便がみられたため,同日に大腸内視鏡検査(Fig.5)を行った.手術51日後に退院となった.手術7か月後の注腸X線造影像(Fig.6)と内視鏡像(Fig.7)を示す.

全消化管 3 Cases

Case 1

著者: 河内修司 ,   蔵原晃一 ,   大城由美

ページ範囲:P.1426 - P.1429

臨床情報 
80歳代後半,女性.主訴:水様性下痢,両下肢浮腫.既往歴:1年前に胃・十二指腸潰瘍,H. pylori(Helicobacter pylori)陽性で除菌療法を実施し,尿素呼気試験で陰性を確認済み.以後,プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor ; PPI)の内服なし.現病歴:血圧上昇に対し,近医でアンギオテンシンII受容体拮抗薬(angiotensin II receptor blocker ; ARB)のバルサルタンの投与が開始された.2か月後より水様性下痢,排便回数増加,両下肢浮腫が出現し,当センターに紹介され受診となった.現症:身長157cm,体重61kg(元来55kg),両下肢に著明な浮腫を認めた.検査:WBC 10,310/μL,Hb 10.6g/dL,CRP 6.2mg/dL,総蛋白4.5g/dL,Alb 1.3g/dL,尿蛋白(−).臨床経過:大腸内視鏡検査(Fig.1),上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD,Fig.2),経口的(Fig.3a)・経肛門的(Fig.3b)バルーン小腸内視鏡検査,小腸カプセル内視鏡検査(Fig.3c)を実施した.

Case 2

著者: 吉村大輔 ,   大久保彰人 ,   南野涼子 ,   藤原美奈子 ,   桃崎征也

ページ範囲:P.1430 - P.1433

臨床情報 
30歳代,男性.当院他科で精査中に排便時出血を訴えたため,全大腸内視鏡検査と上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)が施行された.既往歴・家族歴:特記事項なし.身長174cm,体重72kg,腹部理学所見:異常なし.顔面鼻翼に発赤調の小結節を1か所認めた.血算生化学検査:Hb 14.1g/dL,WBC 5,000/μL,CRP 0.21mg/dL.

Case 3

著者: 芥川剛至 ,   沖井詩織 ,   島村拓弥 ,   相島慎一 ,   江﨑幹宏

ページ範囲:P.1434 - P.1437

臨床情報 
60歳代,男性.主訴は特になし.現病歴:前立腺癌の術前検査のために撮影された腹部造影CT(Fig.1)で,十二指腸〜小腸にかけて多発する隆起性病変を指摘され,精査目的に当科へ紹介され受診となり,造影X線検査(Fig.2),上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD,Fig.3),超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS,Fig.4),カプセル内視鏡検査(Fig.5)を施行した.既往歴,家族歴:特記事項なし

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目次

ページ範囲:P.1204 - P.1205

欧文目次

ページ範囲:P.1206 - P.1206

バックナンバー・定期購読のご案内

ページ範囲:P.1333 - P.1333

次号予告

ページ範囲:P.1440 - P.1440

編集後記

著者: 小澤俊文

ページ範囲:P.1441 - P.1441

 本邦では2020年初頭から始まった新型コロナウイルスの流行により学会,研究会は軒並み中止され,対面での医師同士の交流が断たれた.それとほぼ同時期にZoomをはじめとするWebによる講演会や研究会,学術会議などが主たるコミュニケーション機会となって久しい.いつしかZoom操作にも慣れ,天候に左右されないことや移動時間・経費の節約が可能な点などの利便性も加わり,リアルの場における討論に参加しなくても満足し,人とのつながりが疎遠になった感は否めない.
 さて,それまで東京に参集し激論を交わしていた(以前に比べればすでにおとなしくなってはいたが)早期胃癌研究会もご多分に漏れずWeb開催となった.回数を重ねるごとに読影操作や症例提示は初期に比べると随分とスムーズになったものの,視聴者からの意見は発言権付与者が中心ということもあり,ますますおとなしくなるといった負の側面がある.そして実際の会場での読影や聴講といった特別な緊張感も,リアルではない,すなわち他人の目がない空気感ゆえに減少したと個人的に思っている.

奥付

ページ範囲:P.1442 - P.1442

基本情報

胃と腸

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1219

印刷版ISSN 0536-2180

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