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文献詳細

雑誌文献

胃と腸58巻11号

2023年11月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

ひだ集中を伴う偽陥凹型LST-NGの形態をとった大腸管状腺腫の1例

著者: 行元崇浩1 芥川剛至2 木戸伸一3 江﨑幹宏1

所属機関: 1佐賀大学医学部内科学講座消化器内科 2佐賀大学医学部附属病院光学医療診療部 3佐賀大学医学部病因病態科学病理診断学分野

ページ範囲:P.1556 - P.1562

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要旨●患者は70歳代,男性.大腸内視鏡検査で上行結腸に空気少量でひだ集中が明瞭となる淡い発赤調の平坦病変を認めた.拡大観察はJNET分類Type 2B,pit patternはIIIS型主体だが一部にVI型軽度不整を認めた.注腸X線造影検査でも病変周囲から明瞭なひだ集中像が観察され,SM浸潤癌の可能性が推測された.診断的治療目的にESDで切除し,病理組織学的には高異型度腺腫であった.偽陥凹型LST-NGは種々のモダリティを用いても正確な深達度診断が得られない場合があり,明らかな粘膜下層深部浸潤の所見を認めない場合は診断的治療を目的としたESDを先行してもよいと考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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