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文献詳細

雑誌文献

胃と腸58巻2号

2023年02月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

悪性リンパ腫との鑑別を要した胃梅毒の1例

著者: 今津愛介12 平川克哉1 大草響1 末永文彦1 野村亜貴子1 近藤雅浩1 工藤哲司1 青柳邦彦1 西山憲一3 鳥巣剛弘2

所属機関: 1福岡赤十字病院消化器内科 2九州大学大学院医学研究院病態機能内科学 3福岡赤十字病院病理診断科

ページ範囲:P.222 - P.228

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要旨●患者は50歳代,男性.20XX年8月より心窩部痛,嘔気,体重減少が出現し,当院へ紹介となった.上部消化管X線造影検査では前庭部から胃体部に辺縁の毛羽立ちと粗糙な粘膜像を認め,EGDでは前庭部から胃体部に不整形のびらんや潰瘍が多発していた.当初は胃MALTリンパ腫を疑ったが,風俗店の利用歴と梅毒血清反応陽性であったため胃生検組織の抗T. pallidum抗体染色を行い,胃梅毒と診断した.ペニシリン,アモキシシリンによる駆梅療法を行った結果,速やかに軽快した.近年,梅毒感染症の増加が報告されており,消化器領域の日常診療でも胃梅毒に注意すべきである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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