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文献詳細

雑誌文献

胃と腸58巻3号

2023年03月発行

文献概要

今月の主題 食道ESD瘢痕近傍病変の診断と治療 序説

食道ESD瘢痕近傍病変の診断と治療

著者: 小山恒男1

所属機関: 1佐久医療センター内視鏡内科

ページ範囲:P.251 - P.251

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 20世紀における食道癌の標準的治療法は開胸開腹食道亜全摘胃管再建術であり,外科医の努力にもかかわらず,大きな侵襲が避けられない治療法であった.一方,食道表在癌ではリンパ節転移の危険度が低いことから,1980年代後半に内視鏡的な粘膜切除術が開発された.そして,1993年2月に「胃と腸」28巻2号にて「内視鏡的食道粘膜切除術」が特集され,門馬ら1)が2チャンネル法を,幕内ら2)がEEMR-tube法を,井上ら3)がEMRT法とEMRC法に関して報告した.こうして,内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection ; EMR)は食道表在癌の治療法を一新し,第一選択手技としての地位を確立した.しかし,食道EMRでは正確な切除が困難で,大きさに制限があった.また,2cmを超えると分割切除を要し,病理診断のqualityが低下した.さらには,分割切除では局所再発率が高いという弱点があった.
 そこで,2000年に筆者4)は食道に対する内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD)を考案,発表した.食道ESDでは正確かつ大きな切除が可能で,質の高い病理診断も可能となった.当初は技術的なハードルがあったが,これを乗り越えてESDは広く普及し,2008年には保険収載された.そして,2009年3月には「胃と腸」44巻3号において「食道扁平上皮癌に対するESDの適応と実際」が特集され,ESDは食道表在癌治療の第一選択手技としての地位を確立した.

参考文献

1)門馬久美子,吉田操,山田義也,他.早期食道癌に対する内視鏡的粘膜切除の実際—2チャンネル法.胃と腸 28:141-151, 1993
2)幕内博康,町村貴郎,水谷郷一,他.早期食道癌に対する内視鏡的粘膜切除術—EEMR-tube法の実際.胃と腸 28:153-159, 1993
3)井上晴洋,竹下公矢,長浜雄志,他.早期食道癌に対する内視鏡的粘膜切除の実際—EMRTとEMRC.胃と腸 28:161-169, 1993
4)小山恒男.食道癌に対するEMRの選択法.消内視鏡 12:718-719, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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