icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸58巻5号

2023年05月発行

文献概要

今月の主題 壁内局在からみた胃上皮下腫瘍の鑑別診断 主題

胃上皮下腫瘍の組織発生と病理診断

著者: 根本哲生1 宮地英行2

所属機関: 1昭和大学横浜市北部病院臨床病理診断科 2昭和大学横浜市北部病院消化器センター

ページ範囲:P.601 - P.610

文献購入ページに移動
要旨●近年,胃底腺型胃癌に代表される粘膜内に存在しながら表面は非腫瘍上皮に被覆される腫瘍への関心の高まりとともに,従来の粘膜下腫瘍(SMT)に代わって上皮下腫瘍(SET)という用語が使われるようになっている.SETとは狭義のSETと粘膜下層以下に局在を持つ本来のSMTの両者を包含する概念と言える.粘膜下に中心を置く腫瘍として,浸潤部で膨張性に体積を増す癌,胃壁を構成する間葉成分に由来する間葉系(非上皮性)腫瘍,転移性腫瘍が挙げられる.これらの腫瘍と鑑別となる腫瘍様病変としては,異所性胃腺,膵組織などが挙げられる.これら胃のSETの鑑別診断を考える際には,発生母地となる組織の存在部位を知っておくことが重要である.

参考文献

1)Akashi Y, Noguchi T, Nagai K, et al. Cytoarchitecture of the lamina muscularis mucosae and distribution of the lymphatic vessels in the human stomach. Med Mol Morphol 44:39-45, 2011
2)九嶋亮治.H. pylori未感染胃の上皮性腫瘍.胃と腸 55:977-980, 2020
3)Hytiroglou P, Petrakis G, Tsimoyiannis EC. Mucosal Schwann cell hamartoma can occur in the stomach and must be distinguished from other spindle cell lesions. Pathol Int 66:242-243, 2016
4)宮永太門,奥田俊之,山田翔,他.腫瘍性疾患:グロームス腫瘍.胃と腸 50:782-784, 2015
5)石橋英樹,阿部光市,二村聡.非腫瘍性疾患:IFP(inflammatory fibroid polyp).胃と腸 50:818-820, 2015
6)佐野量造.胃の肉腫.胃疾患の臨床病理.医学書院,pp 260-267, 1974
7)岸田圭弘,小野裕之.delle.胃と腸 52:592, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?