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文献詳細

雑誌文献

胃と腸58巻6号

2023年06月発行

今月の主題 分類不能腸炎(IBDU)の現状と将来展望

主題

Crohn病確定診断例にみられる非定型病変とその経過

著者: 横山薫1 原田洋平12 伊藤隆士12 金澤潤1 別當朋広1 池原久朝1 小林清典3 草野央1

所属機関: 1北里大学医学部消化器内科学 2北里大学医学部病理学 3北里大学医学部新世紀医療開発センター

ページ範囲:P.747 - P.760

文献概要

要旨●当科で経験したCrohn病(CD)の潰瘍性大腸炎(UC)類似病変合併例の特徴について検討した.その頻度は28%と以前より高率で,IBD症例数の増加やIBDU(IBD unclassified),非定型病変に詳細な観察が行われていることなどが理由と考えられた.UC類似病変の出現部位は左側結腸に多く認められ,経過中に出現部位が変化する症例も含まれた.CDの診断では,小腸の縦走潰瘍や不整形〜類円形潰瘍,肛門病変,生検病理組織学的所見における非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が有用であった.もう一つの非定型病変として,アフタ性病変のみからCD典型例へ進展した症例を提示した.アフタ性病変のみの症例では大腸内視鏡検査のみで終わらせず,上部消化管の検索や経過観察に加え,病変が進展する可能性と経時的な画像検査の必要性を患者に説明する必要がある.

参考文献

1)厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班).令和4年度分担研究報告書.pp 31-34, 2022
2)平井郁仁,松井敏幸,宮岡正喜,他.indeterminate colitisの臨床的検討—その定義と頻度,臨床経過について.胃と腸 41:885-900, 2006
3)平井郁仁,矢野豊,大原次郎,他.アフタ様病変のみから成るCrohn病の長期経過.胃と腸 40:895-910, 2005
4)岩男泰,杉野吉則,井上詠,他.非定型的Crohn病の診断と経過—内視鏡所見を中心に.胃と腸 41:925-938, 2006
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8)横山薫.クローン病 非典型例.炎症性腸疾患Imaging Atlas.日本メディカルセンター,2016
9)Esaki M, Matsumoto T, Ohmiya N, et al. Capsule endoscopy findings for the diagnosis of Crohn's disease:a nationwide case-control study. J Gastroenterol 54:249-260, 2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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