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文献詳細

雑誌文献

胃と腸58巻7号

2023年07月発行

文献概要

今月の主題 消化管リンパ増殖性疾患の診断アプローチの基本 主題症例

経過中に小腸に再発病変を来した狭窄型DLBCLの1例—小腸悪性腫瘍との鑑別を中心に

著者: 江﨑幹宏1 芥川剛至12 下田良12 行元崇浩1 島村拓弥13 板村英和3 與田幸恵4 甲斐敬太5 川崎啓祐6 木村晋也3 能城浩和4

所属機関: 1佐賀大学医学部内科学講座消化器内科 2佐賀大学医学部附属病院光学医療診療部 3佐賀大学医学部内科学講座血液・腫瘍内科 4佐賀大学医学部一般・消化器外科 5佐賀大学医学部病因病態科学病理診断学分野 6九州大学大学院医学研究院病態機能内科学

ページ範囲:P.929 - P.935

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要旨●患者は80歳代,女性.腹部造影CT検査で多発する腹腔内リンパ節腫大を指摘され,左鼠径部リンパ節生検でびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)と診断された.DLBCLに対して化学療法が施行され寛解となったが,4年目の経過観察目的の画像評価で上部小腸に再発病変を認めた.内視鏡検査では境界が比較的明瞭な全周性の不整形潰瘍を認めたが,潰瘍底の不整は乏しい印象であった.X線造影検査では高度の腸管狭窄を呈するものの,口側腸管の拡張は目立たなかった.腸管穿通による膿瘍形成を合併したこともあり,小腸部分切除術が施行された.病理組織学的には,潰瘍形成部に一致して中型〜大型の異型リンパ球の腫瘍性増殖を認め,免疫組織化学染色の結果と併せてactivated B-cell型のDLBCLと診断した.

参考文献

1)中村昌太郎,松本主之,池上幸治,他.空・回腸悪性リンパ腫168例の臨床病理学的特徴—X線・内視鏡所見を中心に.胃と腸 48:1461-1473, 2013
2)中村昌太郎,飯田三雄,藤澤聖,他.小腸悪性リンパ腫の肉眼分類とX線・内視鏡所見—組織分類との関連を中心に.胃と腸 36:937-952, 2001
3)Nakamura S, Matsumoto T, Takeshita M, et al. A clinicopathologic study of primary small intestine lymphoma:prognostic significance of mucosa-associated lymphoid tissue-derived lymphoma. Cancer 88:286-294, 2000
4)川崎啓祐,鳥巣剛弘,蔵原晃一,他.小腸悪性腫瘍の臨床.胃と腸 55:1349-1359, 2020
5)Modlin IM, Sandor A. An analysis of 8305 cases of carcinoid tumors. Cancer 79:813-829, 1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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